2000 Fiscal Year Annual Research Report
ハイスループットモノクローナル抗体取得法に関する研究
Project/Area Number |
12875153
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 秀雄 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (00237348)
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Keywords | 無細胞タンパク質合成系 / 一本鎖抗体 / ハイブリドーマ / PCR / プライマー / 逆転写 / モノクローナル抗体 / ハイスループット |
Research Abstract |
大腸菌の無細胞転写・翻訳系では、合成されたタンパク質が内在性プロテアーゼによりしばしば分解される。これを軽減するため、3種類のプロテアーゼ(DegP,OmpT,Lon)の様々な組み合わせの欠損変異株を作製し、それらの株からS30抽出液を調製した。これらの抽出液を用い、2種類の一本鎖抗体遺伝子を無細胞系で発現させた。その結果、抗ヒト血清アルブミン一本鎖抗体に対しては、どの抽出液も効果を示さなかったが、抗gp120一本鎖抗体は、LonとOmpTの欠損変異株由来の抽出液を用いた場合、プロテアーゼによるとみられる分解が抑制されていた。またLonとOmpTの2重変異株由来の抽出液でより顕著であった。このことより、無細胞系で抗体遺伝子を発現させる場合、このようなプロテーゼ欠損変異株より調製したS30抽出液を用いることは、非常に有効であることがわかった。 次にマウスL鎖可変領域をRT-PCR法により選択的に増幅させる、プライマーを以下のように設計した、CK-1:5`-ACT GGA TGG TGG GAA GAT-3`,VK:5`-GAY ATT GTG MTS ACM CAR WCT MCA-3`,CK-2:5`-GGA TAC AGT TGG TGC AGC ATC-3`。マウスのトランスグルタミナーゼに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞2種類より、mRNAを抽出し、それを鋳型として逆転写反応を行い、cDNAを合成した。逆転写反応時に用いるプライマーとして一般によく用いられるOligodTと、L鎖CH領域特異的なプライマーCK-1を比較したところ、CK-1を用いた方が、その後のVKとCK-2を用いたPCR反応での特性が増大していた。増幅DNAの長さはおよそ500bpであり、データーベースから想定させる長さと一致していた。このことより設計したプライマーはL鎖可変領域を特異的に増幅できることが示唆された。さらにPfuTurbo,ExTaq,AmpliTaqGoldなど数種類の耐熱性DNAポリメラーゼを用いてこの反応を行ったところ、AmpliTaqGoldが特異性、収量ともに優れていることがわかった。 さらに低鋳型濃度からの増幅を検討するため、上記VK、CK-2プライマーの5'末端側に同一のタグ配列をもつプライマーを新たに設計し、このタグに対するプライマーをもう一種類増やして増幅を試みた。しかしながら特異的な増幅DNA断片は得られなかった。これはこのプライマーが40塩基以上と長く、非特異的に鋳型に会合してしまうためであろうと考えられた。
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