2002 Fiscal Year Annual Research Report
水素供給を必要としない非絶対的嫌気条件下における微生物による石油の脱硫系の開発
Project/Area Number |
12875156
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小野寺 慶子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (70202380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 吉樹 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (60026424)
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Keywords | Polycyclic aromatic hydrocarbon / dibenzothiophene / bioremediation |
Research Abstract |
多環芳香属化合物は発がん性を有するため自然環境中での分解が懸念されてきた。本研究者らは脱硫系の開発を行う過程においてこれらの化合物を効率良く分解し、かつ含イオウ芳香属化合物について著しい分解性を有する菌Achromobacter sp.SS6株を分離した。そこでバイオレメディエーションの観点から、本菌について詳しく検討した。 多環芳香属化合物の分解は生育条件下においては基質濃度3mM、5mlの培地、30℃で行った。化合物量はHPLCとGCによって測定した。また、菌体反応は0.6mMの基質濃度で行った。 本菌はフェナントレンの分解が優れており、高い分解能を持つと報告されているPseudomonas cepacia F297の3.5倍の分解が見られた。菌体反応において、35時間後にはナフタレン、ビフェニール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、カルバゾールはそれぞれ、100、74、83、75、60%分解した。また、イオウ化合物のみを検出できるFPDにより、24時間の菌体反応後フェニルジスルファイド、チアンスレン、ベンジルジスルファイド、4,4'-チオフェニル、ジベンゾチオフェン、ベンゾチオフェン、はそれぞれ、57,3、49.2、49.0、47.2、32.4、11.0%の脱硫が確認された。汎用されているRhodococcus IGTS8ではチアンスレンはジベンゾチオフェンの62%、4,4'-チオフェニルは45%、ベンジルジスルファイドは14%、フェニルジスルファイドは8%の分解性しかないのに比べ、本菌では152、146、151、177%の分解性を有しており、Rhodococcus IGTS8とは異なる基質特異性を持つことが明らかとなった。 今後はこれらの優れた脱硫能を非絶対的嫌気条件下において発揮できるような系の構築に取り組みたいと考えている。
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