2000 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌によるリグニン関連芳香族化合物の代謝及び微生物変換に関する基礎研究
Project/Area Number |
12875159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
西村 基弘 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (30259931)
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Keywords | リグニン / 放線菌 / 遺伝子 / 代謝 / バニリン酸 / 脱メチル化 |
Research Abstract |
本年度は、放線菌株NL15-2Kにおけるリグニン関連芳香族化合物の代謝経路を培養学的観点から明らかにし、さらに、関連する代謝酵素遺伝子群を取得するための基礎データーの蓄積を行った。具体的には、以下を実施した。 1.NL15-2K株の同定 2.種々のリグニン関連化合物に対する代謝マップの作成 3.バニリン酸脱メチル化酵素のアミノ酸配列における保存領域の調査 4.同酵素遺伝子を検出するためのプローブの設計と条件検討 1については、走査型電子顕微鏡による胞子連鎖の形態観察と16S rRNA遺伝子の配列解析により行った。本菌株は、各所で分岐した気菌糸から長いらせん状の胞子連鎖を形成し、胞子表面の形態はトゲ状であった。また、基生菌糸の分断はみられず、菌核、胞子のう、分生子殻などの特殊な形態も観察されなかった。以上から、本菌株はStreptomycesに属することが示唆された。16S rRNA遺伝子(1523bp)解析の結果、S.anulatus及びS.lavendulaeに近縁の菌種であることが判明した。2については、フェルラ酸、ベラトル酸、コニフェリルアルコール、シリンガ酸など、約10種類のリグニン関連化合物を炭素源として、本菌株による代謝産物をHPLCにより分析した。その結果、これらの基質はバニリン酸またはプロトカテク酸に変換された後、最終代謝を受けることが明らかになった。本代謝系において、バニリン酸のほとんどは酸化的脱メチル化によりプロトカテク酸となるが、わずかにグアヤコールも検出されたことから、バニリン酸を酸化的に脱炭酸する経路も存在することが示唆された。3,4については、SwissProt,PIR等のデータベース検索により2カ所の保存領域を見出し、PCR増幅のためのプライマーを設計した。得られた2組のプライマーを用いて本菌株の染色体DNAより当該遺伝子の増幅を試みた結果、約480bpの産物をほぼ単一の状態で得るにいたった。この増幅産物はサザンハイブリダイゼーションによる遺伝子検出において、極めて特異性の高いプローブとして利用できることが判明した。
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