2001 Fiscal Year Annual Research Report
リビングアニオン重合系の粘弾性:アニオン会合状態の特性決定
Project/Area Number |
12875187
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾崎 邦宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正志 京都大学, 化学研究所, 助手 (80201937)
渡辺 宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (90167164)
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Keywords | リビングアニオン高分子 / アニオン会合体 / 粘弾性測定 / Maxwell型緩和 / アニオン末端の協同性 |
Research Abstract |
リビングアニオン重合反応では、溶媒極性の低下と共に活性末端のイオン解離性が減少し、高分子鎖の活性末端は動的に会合する。この動的会合体は重合系の粘性を増加させ、特に、2官能性開始剤を用いた無極性溶媒中での重合においては網目型の会合体の形成が分子量分布に大きな影響を与える。従って、高濃度で効率高分子を重合させるためには、この会合体についての知見が不可欠となる。しかしながら、リビングアニオン重合反応系のアニオンの動的会合状態については、十分な知見が得られていなかった。 このような状況に鑑み、本研究では、網目型ゲルとリビング・ジアニオン系の類似性に着目し、ジアニオン系に対する線形粘弾性測定によってアニオンの動的会合状態を検出・解析した。具体的には、無極性のベンゼン、トルエン中でLiを対カチオンとするポリブタジェン・ジアニオンのリビング高真空重合系内に、ポリエチレン薄膜でコートした永久磁石を封入して、電磁石を用いた落球クリープ型の粘弾性測定を行った。 上記の測定で得られた緩和剛性率G(t)の解析の結果、ベンゼン、トルエン中のポリブタジェン・ジアニオンは、低分子化合物の紐状ミセル会合体と同様のMaxwell型緩和を示すこと、また、この緩和の終端緩和時間はアニオン会合体の寿命を表すことが明らかとなった。この会合体寿命は、個々のアニオン末端の会合体からの脱出時間よりはるかに長く、アニオン会合体の動的生成・消滅の速度が多くのアニオン末端の協同性で決定されることが明らかとなった。この結果は、リビング・アニオンの重合速度および立体規則性に対しても、アニオン末端の協同性が重要な影響を与えていることを示唆するものである。
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