Research Abstract |
スクロースの集積と細胞分裂との関連性を比較検討するため,細胞分裂を促進する物質であるCPPUを処理した.40日目の果実では,200μm以下の細胞数は,無処理区では237個(全体の69%),処理区で158個(43%)と処理区の方が少なかったが,50日目では,それぞれ131個(38%),307個(62%)と処理区で小さな細胞が増大した.果実のスクロース含量は40日目では無処理区と処理区とほとんど差異はなかったが,50日目では,それぞれ48850mg/l,87160mg/lとCPPU処理区で多くなった.このように,CPPU処理した果実では,細胞分裂が促進され,無処理果に比べより小さな細胞が多くなり,これらの細胞にスクロースが集積する結果,スクロース含量が高くなるものと考えられる. 一方,スクロースの集積と細胞肥大との関連性を比較検討するため,細胞肥大を促進するCPAを処理した.40日目の果実では,200μm以上の細胞数は,無処理区で109個(全体の32%).処理区で212個(54%)と処理区の方が多く,50日目でも,無処理区で 210個(62%).処理区で217個(57%)と大きな差異はなかった.果実中のスクロース含量は,40日目では無処理区が27100mg/l,処理区が35150mg/l,50日目でも無処理区が48850mg/l,処理区が80610mg/1と処理区で大きくなった.このように,40日目の処理果では,200μm以下および以上の大きさの細胞数の構成が50日目の無処理果の場合と同じような傾向にあった.従って,CPAを処理することにより,果実発育早期に果実内における細胞の大きさと数の構成が成熟に近い状態となるため,果実発育早期からスクロースが集積し,スクロースの濃度が高くなるものと考えられる.
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