2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12876016
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神尾 好是 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00109175)
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Keywords | 乳酸菌 / Dpr / 酸素耐性因子 / 鉄結合蛋白質 / ラジカル / フェントン反応 |
Research Abstract |
Dpr分子がどのように酸素耐性を付与しているか明らかとするため、dpr遺伝子産物の取得と解析を行った。好気的に培養したS.mutansの菌体約10gから、精製度で約50倍、精製標品として約2.4mgのDpr蛋白質を得た。Dpr分子は、SDS-PAGEで20kDa、沈降平衡法で223kDaを示し、12量体からなる複合体を形成していた。また、Dpr分子は電子顕微鏡で図1に示したような直径約10nMの球状の粒子として観察され、鉄結合蛋白質であるFerritin(直径12.5nM)と類似した形状であった。ICP-MASSを用いて、金属元素種の同定と定量を行った結果、精製したDpr分子には複合体当たり鉄と亜鉛がそれぞれ27.8、10.5個含まれていた。さらに、その最大積載量を推定したところ、鉄が複合体当たり480個、亜鉛が9.6個であった。Dprはそのアミノ酸の相同性からDpsファミリーに属する蛋白質であると考えられる。そこで大腸菌のDps報告されているDNAとの結合能についてDpr分子でも検討したが、DNAとの結合能は認められなかった。また、抗酸化酵素活性である、SOD活性とカタラーゼ活性についても検討したが、いずれの活性も検出されなかった。 以上の結果から、Dpr分子はいわゆるFerritinのよつな鉄結合蛋白質の一種であると考えられた。鉄イオンは、フェントン反応(H2O2+Fe2+→・OH+OH_<->+Fe3+)で知られるように、最も反応性の高い活性酸素種であるヒドロキシルラジカル(・OH)の生成を触媒する。従って、推定されるDpr分子の機能は、生体内の遊離の鉄イオンのキレート作用によるヒドロキシルラジカルの生成抑制である。そこで、Dpr分子が鉄イオンに依存したヒドロキシルラジカルの生成を抑制しうるかどうかin vitroの実験系を用い検討した。その結果、10mMのFe2_+の添加によって引き起こされるヒドロキシルラジカルの産生をDpr分子は非常に効果的に抑制しうることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山本裕司, 神尾好是: "乳酸菌における酸素分子の利用と毒性"蛋白質 核酸 酵素. 46(6). 726-732 (2001)
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[Publications] 山本裕司, 神尾好是: "乳酸菌の酵素耐性獲得戦略・ペルオキシダーゼではなく鉄結合タンパク質が酵素耐性を支配する?"化学と生物. 39(1). 2-3 (2001)
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[Publications] Y.Yamamoto, L.B.Poole, R.R.Hantgun, Y.Kamio: "An iron-binding protein, Dpr, from Streptococcus mutans prevents iron-dependent hydroxyl radical formation in vitro"Journal of Bacteriology. 184(印刷中). (2002)