2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12876038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高井 光男 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50002019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 嘉拓 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10001463)
惠良田 知樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30213581)
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Keywords | リグニン / ヨウ素 / 三塩化鉄 / 電気伝導性 / フェノキシラジカル / 電荷移動錯体 / 紫外可視分光光度計 |
Research Abstract |
申請者等は、種々のリグニンを木材から抽出(MWL)及び市販品(オルガノソルブリグニン等)を購入し、これに酸化剤であるヨウ素(I_2)や三塩化鉄(FeCl_3)等を用いてドーピングした時の電気伝導度を4端子法により測定し、この中で、最も電気伝導度の上昇が見られたリグニンについて、分子量(GPC)と分子構造(13C NMR)を詳細に調べた。現在まで、ヨウ素ドーピングにより電気伝導度は絶縁体の10^<-10>S/cm^2から一億倍ほど増大し、最高で約10^<-2>S/cm^2まで上昇することが判った。この結果は、30年前にNimz等が提唱したリグニンモデル構造では説明がつかず、本来のリグニン構造は、DNAと同様に規則的なラセン構造を形成し、フェノキシラジカルがスタッキング(積層構造)し、例えばテトラチオフルバレン(TTF)-テトラキノジメタン(TCQMのような電荷移動錯体がリグニンでも同様に形成されているのではないかと考え、紫外可視分光光度計を用いて検討した。その結果、ヨウ素ドープによりUVスペクトルが大きく変化し、290nmと360nmに大きな吸収ピークが観測された。これはI^<3->の吸収と考えられ、ドーピングによって確かにヨウ素がリグニン中にI^<3->の形で入り込んでいることが確認できた。つまり、ヨウ素(電子受容体)がリグニンの分子軌道(電子供与体)から電子を奪ったために電子が動きやすくなり(移動度の上昇)電気伝導性が増加したのではないかと考えられる。今後の研究の展開としては、ラセン構造の有無を調べるためにヨウ素ドープ・未ドープリグニンを現有のX線回折装置を用いて検討することを予定している。
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Research Products
(1 results)