2000 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光法による動物組織活性および体液成分の測定
Project/Area Number |
12876068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
加藤 清雄 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (00112574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 守 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (80089888)
井上 博紀 酪農学園大学, 獣医学部, 助手 (90305904)
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Keywords | ウシ / 近赤外分光法 / 乳腺 / ヘモグロビン動態 |
Research Abstract |
ウシの乳房炎は乳腺組織に生じる炎症で、不適切な搾乳や乳頭の損傷などにより発症する。乳房炎の治療には、主として抗生物質の乳房内注入および筋肉内注射が行われている。しかし食品としての安全性確保の目的から、抗生物質の残留がなくなるまでの期間、治療牛の牛乳は全て廃棄処分される。このため、乳房炎が酪農産業に与える経済的損失は甚大である。 本研究では、乳房炎の早期診断法の開発を目指して、近赤外分光法を用い非侵襲的にウシの乳腺活性の測定の可能性を試みた。乳房炎罹患ホルスタイン種乳牛7頭を用い、測定プローブは乳房側面に密着させ、データはオンラインでリアルタイムにパーソナルコンピュータに送信しモニタした。得られた740nmと840nmの測定値を元に、酸素化ヘモグロビン(Hb)量、脱酸素化Hb量、総Hb量の変動を算出した。プローブ装着側の乳静脈を圧迫したところ、圧迫直後より酸素化Hb量の減少と、それにつづく脱酸素化Hb量の増加を認め、ウシ乳房組織内の酸素化度を測定していることが推察された。また、乳房炎による経済的損失を最小限に止める治療法の有効な手段として乳房炎罹患牛のオゾン治療に注目し、オゾン治療時の乳房組織内血液動態を近赤外線分光法を用いて測定した。オゾン治療により、乳房組織内脱酸素化Hb量は減少し、酸素化Hb量と総Hb量は増加した。オゾン治療は乳房組織への酸素供給を増し、乳房炎治療に何らかの影響を及ぼしていることが推察された。近赤外分光法による乳房炎乳汁に特異的に出現する物質の検出については検討中である。
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