2002 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光法による動物組織活性および体液成分の測定
Project/Area Number |
12876068
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
加藤 清雄 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (00112574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 守 北海道大学, 電気科学研究所, 教授 (80089888)
井上 博紀 酪農学園大学, 獣医学部, 助手 (90305904)
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Keywords | ウシ / 近赤外分光法 / 化学発光 / 乳房炎 / 乳汁 |
Research Abstract |
本研究では、乳房炎罹患牛の早期診断法の開発を目指し、正常乳および乳房炎乳について近赤外分光法による乳房炎特異物質の検出、および化学発光(chemiluminescence, CL)による好中球の等の食細胞活性の測定を行った。また、非抗生物質療法であるオゾンの効果を明らかにするために、治療前後の乳汁中食細胞活性値を化学発光により測定した。 近赤外スペクトルは北海道大学電子科学研究所超分子分光分野において開発された携帯型近赤外分光器(Spectrometer Type S2000)により計測した。波長577.21から1229.93nmの吸光値を0.27nmごとにスペクトルスキャンを行った。834nmから848nmにかけて正常乳と乳房炎乳との間にスペクトルの傾きが異なる傾向がみられたが、両者のスペクトラムに統計学的に有意な差は見られなかった。 炎症巣には貪食細胞が遊走し殺菌効果を表すが、この際活性酸素を放出し化学発光を起こす。乳汁CLはテトラライトTK-LP400(トッケン)により測定した。乳汁CLは正常乳(CMT:-)の3×10^3RLUから乳房炎乳(CMT:4+)の5×10^6RLUの範囲にあり、高精度で乳汁化学発光活性、すなわち乳汁中の食細胞活性を検出することができた。乳房炎に罹患している乳房にオゾン治療を行ったところ、治療前の乳汁CLは4,562±1,098×10^3であったが、治療3日目には2,743±691×10^3,6日目には231±139×10^3RLUと明らかに化学発光値が低下し、食細胞活性が低下していることが明らかとなった。 以上の結果より、乳汁中化学発光活性により乳房炎を早期に発見することが可能であり、非抗生物質療法としてオゾン療法が有効であることが明らかとなった。
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