2000 Fiscal Year Annual Research Report
CD38欠損マウス外分泌腺細胞でのアゴニスト誘起性カルシウム応答の解析
Project/Area Number |
12877006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福士 靖江 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20125644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 芳夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00133942)
加藤 一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50250741)
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Keywords | CD38ノックアウトマウス / サイクリックADPリボース / アセチルコリン / 膵腺腺房細胞 / カルシウム オシレーション / リアノジン感受性プール / カルシウム シグナリング / ムスカリン受容体 |
Research Abstract |
申請者らはCD38ノックアウトマウス(KO)を利用することにより、cADPRの外分泌腺細胞における生理的重要性を決定することを主眼とした。cADPRはCa動員物質である。Ca動員には細胞内プールからのCa放出と形質膜を通って流入するCa流入の2種がある。平成12年度はCa放出に焦点をあてた。まず、バックグランドを固める実験から行った。膵腺腺房細胞内のcADPR量は、正常では静止状態でも生成され、かつACh刺激により増加したが、KOでは検出されなかった。一方、細胞内IP3量は刺激により増加したが、両タイプでの差異は認められなかった。パッチクランプ法による細胞内cADPR、IP3、Ca投与では正常とKO両者共にCa依存性Cl電流の応答を誘起したので、Ca反応machineryには差異が見られないことが分った。この一連の実験でノックアウトマウスが真にcADPRのネガテイブコントロールとして使える事が証明された。fura-2を負荷した細胞を用いた蛍光顕微測光法により、AChにより誘起されるCa応答をAChの濃度を10-2000nMまでの範囲で測定し、正常とKOで比較した。正常の濃度-反応曲線は400nMを境に2相に分かれたが、KOの曲線はこの2相が両者共に抑制されていた。正常細胞は第一相でCa oscillationを示したが、KOではそれが著しく損なわれていた。第二相ではどちらのタイプの細胞もphasicな反応を示した。正常の第一相はリアノジンによって完全に抑制されたが、第二相では抑制されなかった。第一相は少なくともリアノジン感受性プールからのCa放出と示唆された。以上の結果から、膵腺腺房細胞でのACh刺激で誘起されるCa oscillationの機構には、リアノジン感受性プールからのCa放出に拘わるcADPRが決定的に関与していることが示唆された。
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