2001 Fiscal Year Annual Research Report
血管の緊張異常を阻害する新規の細胞膜脂質成分の同定と細胞内情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
12877008
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 誠 山口大学, 医学部, 教授 (80225515)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 洋一 山口大学, 医学部, 助教授 (80274158)
|
Keywords | 細胞内情報伝達機構 / 細胞賀Ca^<2+>濃度 / 血管平滑筋 / Rho-kinase / Ca^<2+>非依存性収縮 |
Research Abstract |
合計すると我が国死因の第1位となる血管病(心筋梗塞や脳卒中など)の原因として、血管平滑筋のCa^<2+>非依存性収縮(すなわち、[Ca^<2+>]i増加の程度だけでは説明できない異常に大きな収縮)による血管の緊張異常が注目されている。このCa^<2+>非依存性収縮を引き起こすメカニズムを解明し、また、その機能分子を同定することによって、死因第1位である血管病の予防法や治療法を早急に開発することが、国民衛生上の最重要課題である。 したがって、本研究の目的は、申請者らが独自に開発した分子細胞生理学的手法を駆使して、1)血管平滑筋のCa^<2+>非依存性収縮を引き起こす情報伝達因子の相互関係、およびそれらの上流・下流の情報伝達機構(因子)を明らかにすること、2)血管平滑筋のCa^<2+>非依存性収縮を特異的に抑制する新規の細胞内情報伝達因子の同定・クローニングを行い、3)これらの情報伝達系のヒトにおける生理的・病態的役割について明らかにすること、その細胞内情報伝達機構を明らかにすること、にある。 初年度は、主として薬理学的手法を用いて、Rhoキナーゼとスフィンゴ脂質の相互関係について検討を行い、スフィンゴ脂質の中でもSPCの下流にRhoキナーゼが作用していることが示唆された。最終年度は、シグナル伝達機構を直接的に証明するために、スキンド血管平滑筋を用いて、リコンビナント蛋白、分子内阻害ペプチドなどを細胞内へ導入することによって詳細に検討し、以下のような結果を得た。1)スフィンゴ脂質の1つであるSPCは、Rhoキナーゼの活性化を介してCa^<2+>非依存性収縮を引き起こす細胞内シグナル分子である。2)SPCは、G蛋白の活性化を必要としないため、GPCRの関与は可能性は低い。3)SPC経路は、Cキナーゼ系とのクロストークがほとんどない。4)SPCは、脳血管平滑筋の持続的な異常収縮を引き起こす。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Todoroki-Ikeda N.: "Sphingosylphosphorylcholine induces Ca^<2+>-sensitization of vascular smooth muscle contraction : possible involvement of Rho-kinase."FEBS Lett. 482. 85-90 (2000)
-
[Publications] Mizukami Y: "Nuclear mitogen-activated protein kinase activation by protein kinase Cζ during reoxygenation after ischemic hypoxia."J. Biol. Chem.. 275. 19921-19927 (2000)
-
[Publications] Omura M: "Eicosapentaenoic acid induces Ca^<2+>-independent activation and translocation of endothelial nitric oxide synthase and endothelium-dependent vasorelaxation."FEBS Lett.. 487. 361-366 (2001)