2000 Fiscal Year Annual Research Report
膜電位感受性色素を用いた光計測法による中枢性呼吸化学受容機構の解析
Project/Area Number |
12877014
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 英彰 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70240306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 泰昌 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80160688)
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Keywords | 呼吸調節 / 中枢化学受容 / 炭酸ガス / 脳幹 / 延髄 / 橋 / ラット / 脳ステイス |
Research Abstract |
中枢呼吸化学受容機構の脳幹内局在部位及びそのCO2反応メカニズムについて、膜電位感受性色素を用いた光計測法をin vitroラット脳幹標本に適用して解析を行った。平成12年度には、まず、至適測定条件についての検討を行った。即ち、0日齢から14日齢の各種日齢ラットについて、en bloc脳幹標本、脳幹スライス標本において、各種の膜電位感受性色素で染色を行い、様々な強度の化学刺激を行った。この検討により、CO2反応性膜電位光応答について良好なシグナル・ノイズ比を得るための至適条件を決定した。 1.標本についての検討 en bloc脳幹標本では、生後3から5日齢のラットより作成した標本が、脳幹スライス標本では生後4から6日齢のラットより作成した厚さ400から600マイクロメートルの延髄スライス標本、橋スライス標本での応答が比較的良好であった。これら標本は25から26℃での人工脳脊髄液による持続灌流下で維持した。 2.染色法についての検討 上記標本を染色するため、膜電位感受性色素としてRH795またはDi-4-ANEPPSを用いた際、良好な応答を得た。染色時間はen bloc脳幹標本では約30分、脳幹スライス標本では約15から20分が適当であった。CO2反応性膜電位光応答についてシグナル・ノイズ比は、0.1〜0.4%程度であった。 3.化学刺激方法の検討 中枢呼吸化学受容機構を刺激するため、灌流液中の平衡CO2濃度を2%から8%へと変化させた際に、良好な膜電位応答を得ることができた。 4.化学刺激応答の解析 上記の条件で化学刺激を行った際、脳幹内では高CO2に対して吻側延髄の腹側表層部において強い脱分極応答を認めた。この化学感受領域は延髄腹側から延髄外側面へと広範囲に分布していた。 5.今後の研究の展開についての計画 今後、本法により、高CO2に対する脱分極応答について、空間的時間的な解析を詳細に行い、またシナプス伝達遮断による脱分極応答への影響を解析し、中枢呼吸化学受容機構における内因性CO2感受部位の同定、CO2感受メカニズムの解明を目指す予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Yoshida H.: "Excitation propagation in the rat spinal cord : optical recording using a voltage-sensitive dye."Neuroscience Research. 24(suppl). S46 (2000)
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[Publications] Kuwana S: "Effects of nicotinic ACh receptor antagonists on central respiratory chemosensitivity in the neonatal rat"Neuroscience Research. 24(suppl). S789 (2000)
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[Publications] Okada Y: "Augmentation of central chemoreceptor funcition by cholinesterase inhibitors"Neuroscience Research. 24(suppl). S20 (2000)
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[Publications] Okada Y: "Application of the isolated brainstem-spinal cord preparation in the study of central respiratory chemosensitivity"Japanese Journal of Physiology. 50(suppl)(in press). (2000)
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[Publications] Kuwana S: "Effects of nicotine and nicotinic receptor antagonist on central respiratory control in the isolated brain stem-spinal cord of neonatal rat"Japanese Journal of Physiology. 50(suppl)(in press). (2000)
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[Publications] 吉田英彰: "脊髄圧迫に伴う髄内興奮伝播障害-膜電位感受性色素を用いた光計測法による動的画像解析-"日本整形外科学会雑誌. 74・8. S1672 (2000)
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[Publications] 岡田泰昌: "原発性肺胞低換気症候群の治療法開発を目指した基礎的検討 ニコチンの中枢化学受容機構活性化"日本呼吸器学会雑誌. 38・増刊号. 160 (2000)
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[Publications] 佐藤徹: "動脈血CO2分圧と換気反応の時間関係"日本呼吸器学会雑誌. 38・増刊号. 159 (2000)
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[Publications] 吉田英彰: "ニューロン活動の光学的計測法"臨床整形外科. 36・2. 200-201 (2001)
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[Publications] Okada Y.: "Optical recording of the neuronal activity in the brainstem-spinal cord : application of a voltage-sensitive dye. In Advances in Experimental Medicine and Biology (Poon C-S, Kazemi H eds)"Plenum/Kluwer Press (in press). (2001)
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[Publications] Okada Y.: "Respiratory suppression induced by nicotine withdrawal in the neonatal rat brainstem : implications in the SIDS risk factor. In Advances in Experimental Medicine and Biology (Poon C-S, Kazemi H eds)"Plenum/Kluwer Press (in press). (2001)
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[Publications] 岡田泰昌: "中枢化学受容機構のCO_2受容機序.Annual Review呼吸器2000(工藤翔二,土屋了介,金沢実,大田健編)"中外医学社. 64-74 (2000)