2001 Fiscal Year Annual Research Report
水素ガス産生用ウエルシュ菌バイオリアクター開発のための基礎研究
Project/Area Number |
12877048
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
岡部 昭延 香川医科大学, 医学部, 教授 (20093677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 茂 香川医科大学, 医学部, 助手 (90314913)
松下 治 香川医科大学, 医学部, 助教授 (00209537)
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Keywords | ウェルシュ菌 / Clostridium perfringens / 水素ガス / ガス産生 / ヒドロゲナーゼ / フェレドキシン / 酪酸 / 遺伝子投与 |
Research Abstract |
ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)を用いた水素ガス産生用バイオリアクター開発のための基礎研究として、培養条件とヒドロゲナーゼ関連の遺伝子改変の影響について検討した。C. perfringens NCTC8237株をTYG培地で培養し、水素ガス産生に対する培地のpHの影響を調べた。pHを調整しない場合、増殖とともにpHは低下し、水素ガスは60%であるのに対し、pHを7.4に維持した場合、90%に改善された。ガス成分比では大きく改善されたが、水素ガス量は改善されなかった。pH未調整の場合も、培養の初期においては水素ガスの成分比は高く、培養が進むにしたがって低下した。C. perfringens strain 13からクローニングしたビドロゲナーゼ遺伝子(hydA)をpJIR418をベクターとして遺伝子投与し、水素ガス産生性を調べた。ガス成分比、水素ガスの産生量において、非投与菌との間に有意な差は見られなかった。hydAの発現量は増加していることから、ヒドロゲナーゼの活性が水素ガス産生の律速ではないことが明らかとなった。本菌の主要な発酵経路である酢酸発酵、酪酸発酵はヒドロゲナーゼへの電子の供給と競合すると考えられるが、上記のpH調製時の場合と同様、遺伝子投与の場合もこれら発酵産物の産生は影響を受けなかった。hydA遺伝子の下流に位置するbutylate kinase(buk)の遺伝子破壊により酪酸発酵への電子の供給を遮断することを試みた。しかし変異菌は得られず、本遺伝子は必須と考えられた。ヒドロゲナーゼに電子を供給するフェレドキシン(Fdx)の菌体内の濃度を高めることにより、水素ガスの産生が増加することを期待し、すでに決定されたゲノムの塩基配列を基に、fdx遺伝子のクローニングを行った。本遺伝子には独特のベント構造と鉄制御に関係する配列を有していることが明らかとなった。本遺伝子の投与と鉄添加により水素ガス産生能の改善の可能性が示唆された。
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