2002 Fiscal Year Annual Research Report
移植用肝臓の加圧・過冷却保存法の開発に関する実験的研究
Project/Area Number |
12877181
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 禎人 北里大学, 医学部, 助手 (80245406)
古田 一徳 北里大学, 医学部, 助手 (40209177)
高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
山科 正平 北里大学, 医学部, 教授 (90013987)
田所 文彦 北里大学, 医学部, 助手 (30207071)
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Keywords | 臓器移植 / 臓器保存 / 高圧 / 過冷却 / 凝固温度 / 保存液 / 非凍結状態 / ラット |
Research Abstract |
本研究は、通常の保存温度より低温での臓器保存を行う事で更なる組織代謝抑制を目的としたもので、その結果として移植用肝臓の保存時間の延長を期待するものである。また、本研究を行うにあたり、加圧・過冷却保存法の理論は重要であると同時に不可欠であり、その理論的根拠の解明についても本研究の目的としてきた。これまで、通常の保存温度より6℃低い、-2℃での6時間保存した肝臓において、移植後100%の生命維持を示してきたが、本年は更に母体数の増加ならびに常圧(加圧なし)群の追加を行い、可移植性につき検討した。結果として、(1)移植用肝臓としての耐圧限界は5〜10MPaである。(2)-2℃、常圧での移植が可能であることが示された。更に、1℃低い-3℃での加圧・過冷却状態において、(1)移植用肝臓としての耐圧限界は5MPaである。(2)常圧において、肝臓がUW液内に6時間保存中、凍結する事が判明。(3)2℃保存群と比較して、組織学的に細胞のviavilityが温存されていた。(4)加圧・過冷却保存法では、通常の保存法に比べ、圧力による臓器への影響が危倶される所ではあるが、(2)、(3)の実験結果より圧力の意義、必要性。の4点が示された。また、加圧・過冷却保存に関連する要素として、(1)絶対圧(2)加圧速度(3)加圧時間の3つが考えられる。本年は(1)、(2)に関しても各々、母体数を増やした所、絶対圧との関連としては、0℃、1時間保存では30MPaまでの移植用肝臓としての耐圧性がある事、加圧速度との関連としては、小さいほど少ない事が示された。これらの結果から、不凍液を用いた加圧・過冷却保存法で、保存臓器、組織に対する凍結防止剤や凍結・解凍障害による影響がなく、それらの生命機能は保持することが可能である事が示唆された。次年度からは、本年度の結果を踏まえて、加圧・過冷却保存での更なる保存時間延長を目指し、研究を進める予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 上野琢哉, 大村孝志, 松本春美, 高橋禎人, 高橋 毅, 柿田 章: "不凍結領域での氷点下肝保存"Organ Biology. 9(2). 179 (2002)
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[Publications] 高橋禎人, 高橋 毅, 上野琢哉, 大村孝志, 松本春美, 柿田 章: "不凍結・氷点下領域での肝保存・移植についての基礎的検討"低温医学. 28(3). 108 (2002)