2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12877183
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 龍夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40095633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 健人 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60230463)
緒方 寿夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90214006)
小林 正弘 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30195812)
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Keywords | 創傷治癒 / 創収縮 / 低分子GTP蛋白Rho / ROCK / コラーゲンゲル収縮 |
Research Abstract |
Rho下流エフェクター、ROCKの創収縮への影響を検討するため、ROCK阻害剤、Y-27632による創収縮モデルに対する効果をin vitro,in vivoの実験系で検証した. 1.Y-27632(10μM)のin vitro創収縮モデルに対する影響 1)コラーゲン内3次元培養線維芽細胞によるコラーゲンゲル収縮を阻害 リソフォスファチジル酸(LPA)による急激な収縮はY-27632により完全に阻害され、その後の緩徐な収縮は部分的に阻害された.PDGFによる緩徐な収縮は部分的に阻害された. 2)コラーゲンゲル内での細胞長の短縮を阻害 LPA投与後の急激な細胞収縮は、Y-27632により完全に阻害された.PDGF投与によっては細胞長は変化しなかった。 3)コラーゲン内での細胞の伸長を助長 コラーゲン内に細胞を播種した後の細胞長の伸長は、Y-27632治療群にて増強された. 4)遊走を阻害 ボイデンのケモタキシス・チャンバーにより、LPA,PDGFによる遊走を、Y-27632はdose dependentに阻害した. 2.Y-27632のラット創収縮モデルに対する影響 ラット背部の1cmx1cm円形皮膚欠損創の創収縮にあたえる影響を検討した. 1)連日痂皮を除去し創部にY-27632 30μM(PBS)を投与、2)連日痂皮下にY-27632 30μM(PBS)を注入し、創部をトレースしたが、注入操作や剥離操作によりばらつきが大きく、一貫した結果がえられなかったため、3)浸透圧ポンプにて持続的に創部周囲に5日間投与し、5日目に創サイズを測定したところ、Y-27632治療群で創は優位に大きく、創収縮を阻害することが判明した。 これらにより、ROCK阻害剤、Y-27632がin vitro,in vivo両方において、創収縮を阻害することが明らかになった。今後、培養細胞による創治療等に、活性型ROCKを遺伝子導入するなどの応用の可能性が広がったと考える.
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