2000 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン15遺伝子を用いた前立腺癌遺伝子治療に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12877251
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 和浩 群馬大学, 医学部, 講師 (80312891)
|
Keywords | 前立腺癌 / インターロキン15 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
IL-15は強力が細胞性免疫誘導製サイトカインであり、IL-2とその生物学的性質を共有する。しかし、その効果に必要な量は1logオーダー低いものであり、全身投与でなく、局所においてその効果が発揮できればより副作用の少ないimmunogene therapyが可能となる。そこで、IL-15の生物学的性質を生かした細胞性免疫に由来する前立腺癌immunogene therapyの基礎実験を行った。 IL-15はIL-2と異なり細胞内で蛋白がトラッピングされ、分泌性が著しく低い。そこで、分泌性蛋白のIL-2のSPにIL-15のmature peptideを結合したキメラを分泌するようなキメラを遺伝子組みかえで作成し、IL-15を効率よく細胞から分泌させることに成功した。前立腺癌PC-3へ、この分泌性IL-15cDNAをトランスフェクトし、ネオマイシン耐性のクローンを選択し、IL-15の分泌能を検討した。ng/mlオーダーの分泌能を持つクローンが得られた。このクローンを以下の実験で用い、対象にmock transfectantを用いた。in vitroにおいては両クローンとも同様な増殖態度を示した。in vivoの検討では、ヌードマウスにPC-3を皮下移植するxenograftモデルを利用した。対象のmock transfectantでは、3週後より著明な皮下腫瘍の増大を認めた。一方、IL-15分泌性のPC-3は腫瘍は非常に小さく、一部は完全に拒絶された。組織学的にはIL-15分泌性PC-3由来の皮下腫瘍には単核の炎症性細胞浸潤を多く認めた。ヌードマウスがT細胞欠損であるため、NK細胞をdepletionした。anti-asialo GM1抗体を投与することにより、NK細胞が欠損するが、IL-15分泌性PC-3細胞は皮下腫瘍を形成した。このことから、局所で分泌されたIL-15がNK細胞を介して抗腫瘍効果を発揮したと考えられた。このメカニズムの背景を検討するため、ヌードマウスの脾臓細胞(主にNK細胞から成る)をIL-15分泌性PC-3の培養上清と反応させた。1週間のインキュベートにより脾臓細胞はインターフェロンγの遺伝子発現が有意に増加し、PC-3細胞に対するcytotoxic activityも上昇した。
|
Research Products
(1 results)