2002 Fiscal Year Annual Research Report
外因性内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の造精機能に関わる転写因子DAX-1への影響
Project/Area Number |
12877256
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30122047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 祐太郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40238134)
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Keywords | 環境ホルモン / 転写因子 / 造精機能 |
Research Abstract |
今回の研究では、環境ホルモンがDAX-1の発現に与える影響を中心に、またDAX-1と深く関わっているとされるSF-1やWt-1などの他の転写因子との関係を含め、造精機能障害をもたらすメカニズムについて検討した。妊娠ラット母体および新生仔ラットに対して、環境ホルモンのひとつであるDiethylstilbestrol(DES)を投与し、成人ラットの造精機能障害の発現との関係という観点から研究を進めた。DES曝露ラット精巣は、ヘマトキシリンエオジン染色およびTUNEL法により、造精機能の著明な低下およびアポトーシスの増加を認めることがわかった。これらの結果はDESの濃度依存性に観察された。さらに電子顕微鏡による検討によりセルトリ細胞の障害が考えられた。また、DAX-1mRNAおよび蛋白の発現が低下しており、これはセルトリ細胞の機能異常を反映しているものと考えられた。一方で、SF-1やWt-1といった、精巣体細胞特異的な転写因子のmRNAおよび蛋白の発現の低下は認められなかった。また、これらラットの精巣上体から採取した精子の運動率の低下および奇形率の増加を認め、これら精子を用いた体外授精による授精率も著明に低下していることがわかった。以上により、胎児期及び新生児期における環境ホルモンの曝露により、将来の造精機能障害の低下をもたらし、そのメカニズムとしてセルトリ細胞の機能低下によるDAX-1の発現低下が直接関与していると考えられた。
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