2000 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞発育および黄体形成と低酸素ストレス:卵巣過剰刺激症候群の予知予防に向けて
Project/Area Number |
12877259
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武谷 雄二 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (10114539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 敏博 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80219063)
久具 宏司 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30322051)
大須賀 穣 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80260496)
末永 昭彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10302712)
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Keywords | 低酸素ストレス / 卵巣 / 黄体 / 顆粒膜細胞 |
Research Abstract |
以下のように、低酸素ストレスがヒト卵巣におけるangiogeninの発現に与える影響を明らかにした。[目的]血管新生は卵胞発育、黄体形成において重要な役割を担っている。重要な血管新生物質であるangiogeninのヒト卵巣における発現ならびにその制御機構につき検討した。[方法]体外受精・胚移植施行患者より、同意のもとに採卵時に卵胞液を採取し、さらに卵胞液中から顆粒膜細胞を単離した。卵胞液と顆粒膜細胞中のangiogeninの存在をウエスタンブロッティング法により同定した。また、顆粒膜細胞の培養系にhCG(150ng/ml),cAMP(lmM),低酸素刺激(0.2%O_2)を加え、24時間後の培養上清中のangiogenin濃度をELISA法にて測定し、細胞中のmRNAレベルをリアルタイムPCRにて定量した。145個の卵胞液中のangiogenin濃度を測定し、プロゲステロン、エストラジオール、テストステロン濃度との相関につき検討した。[成績]ウエスタンブロッティング法にて、卵胞液および顆粒膜細胞中のangiogeninの存在が14.3kDのバンドとして検出された。培養顆粒膜細胞からのangiogeninの分泌は、hCGで3倍,cAMPで3倍,低酸素刺激で5.5倍と有意に促進された。低酸素刺激で12.5倍のmRNAレベルの上昇も認められた。卵胞液中のangiogenin濃度はプロゲステロン濃度と有意に正の相関(r=0.36,p<0.0001)を示したが、エストラジオール、テストステロン濃度とは相関を示さなかった。[結論]angiogeninはヒト卵胞液中に高濃度に存在し、卵胞における重要な局所調節因子であるhCG,cAMPおよび低酸素刺激により産生が促進されることを証明した。このことからangiogeninは卵巣において局所の血管新生因子としての生理的意義を有することが推測された。
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[Publications] Koga K,Osuga Y,TsuTsumi O,Momooda M Suenaga A.Kuga K,Fajiwara T.Takai Y Yano T,Takatani Y: "Evidence for the presence of angiogenin in human follicular fluid and the up-regulation of its production by human chorionic gonadotropin and hypoxia"J Clin Endocrinol Metab. 85・9. 3352-3355 (2000)