2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12877277
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 均 京都大学, 医学研究科, 講師 (70283596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
万代 道子 京都大学, 医学研究科, 助手 (80263086)
高橋 政代 京都大学, 医学研究科, 助手 (80252443)
本田 孔士 京都大学, 医学研究科, 教授 (90026930)
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Keywords | 血管発生 / 血小板由来増殖因子 / 血管内皮細胞 / 血管壁細胞 / 血管リモデリング |
Research Abstract |
研究方法 1.まず正常血管発生を観察するため、血管内皮および壁細胞(血管平滑筋・周皮細胞)特異的マーカーを用いた免疫染色により網膜血管発生過程における血管構築の解析した。 2.血管新生因子である血小板由来増殖因子(PDGF)の血管発生における役割を解明するため、まず抗PDGF受容体-b(PDGFR-b)モノクローナル抗体を抗体産生ハイブリドーマ(APB5)の培養上清より抗体をアフィニティーカラムにて精製した。次に新生児マウス腹腔に抗体を連日投与し、フラットマウント法・組織切片・走査電子顕微鏡法などを用いて、網膜血管発生に対する時空的解析を行った。 研究成果 1.発生開始直後の網膜血管は、均一な微小血管より構築されているが、徐々に大小の血管に再構築(リモデリング)され、形態的に明らかな動脈・静脈・毛細管へと発達していく。こうした過程において、血管壁細胞は機能的・形態的多様性を獲得し、血管リモデリングに綿密に関わっていると考えられる。 2.抗PDGFR-b抗体投与マウスにおいては、網膜血管壁は壁細胞による被覆を失い、著明に拡張・蛇行する。抗体投与マウス網膜血管では、その発達速度の遅延のみならず、血管網リモデリングにも異常をきたすことが確認された。また、走査電子顕微鏡により、血管内皮細胞間結合の解離および血球の血管外遊出をみとめた。APB5連続投与マウス組織切片にて、血管周囲網膜の浮腫を認め、生後10日目に網膜剥離、眼内出血をきたした。一方、抗PDGFR-aモノクローナル抗体投与では、これらの血管壁細胞異常や、リモデリング異常は認めなかった。こうした知見より、PDGF-B/PDGFR-bは網膜血管発生において、全ての壁細胞の制御に関与していると考えられる。また、血管内皮・壁細胞相互作用の破綻によりリモデリング異常・血管壁透過性亢進をきたすなど、病的血管と類似した血管異常が観察され、血管発生のみならず糖尿病網膜症など病的血管が関与する疾患における病態解明にもつながるものと考えられた。
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