2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12877287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
三鍋 俊春 杏林大学, 医学部, 講師 (50200077)
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Keywords | 皮膚血管 / ラット / 皮弁 / 血行領域 / 血管拡張 / 血管の延伸 / 血管形態の方向性 / 血管の方向転換 |
Research Abstract |
ラットを用いた動物実験により皮膚血管の形態変化に法則性があることをとらえた。実験1.方法:ラット(ウィスター系、オス、250g)背部皮膚の3本のほぼ同口径で同程度の血行領域を栄養する血管の血管形態変化を観察した。これらの頭尾方向に配列する3血管は、胸背、肋間、深腸骨回旋(腸骨)の各動静脈であり、これらをちょうど含むような長方形に皮膚を切開し皮弁を作成した。 結果:最頭側の胸背血管(血管茎)のみを残して他の血管は切離したところ、5から7日目には胸背血管が拡張変化を起こし、隣の第2領域(肋間)に延伸しているのが判明した。しかし、第3領域腸骨まで進入することはなかった。この血管の延伸限界は皮弁生存部に一致しており、皮膚血流維持のための血流代償現象と考えられた。この血管拡張・延伸変化は、動脈では復数本で、静脈では1〜2本のみで生じて折り、静脈での血管拡張がより明瞭であった。また、皮弁下面からの母床血流を遮断することで、上記の拡張・延伸変化は強調された。 実験2.方法:頭尾方向(縦)ではなくて、腹部全周(横)方向の皮弁を利用した。これには、背部より1)腸骨→2)浅下腹壁(腹部)→3)対側浅下腹壁→4)対側腸骨の合計4血管が含まれ、観察対象血管は実験1より1本多い。 結果:通常これら4血管は横同士のつながりより、縦方向のつながりが強い(血管形態の方向性)。しかし、1)+3)、1)+4)の血管を血管茎として残した皮弁では、皮弁作成後5から7日目には皮弁を横に貫く血管が新たに創成されているのが観察された。血流の主方向が縦であった部位に、横方向の切開(皮弁挙上)を入れることにより、血管の横方向への方向転換が生じたことを示す新しい所見であった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 須網博夫,三鍋俊春 他: "皮弁血管構造におよぼす母床血行の影響"第9回日本形成外科学会基礎学術集会プログラム・抄録集. 77 (2000)
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[Publications] 張学,三鍋俊春 他: "ラット全周性皮弁における動脈Supercharge"第9回日本形成外科学会基礎学術集会プログラム・抄録集. 79 (2000)