2001 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼から嚥下までの機能分析による義歯床形態の定量的評価
Project/Area Number |
12877312
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 正司 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50014098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 圭介 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30313521)
山田 好秋 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80115089)
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Keywords | 摂食嚥下機能 / 構音機能 / パラトグラム / videofluorography / 義歯床口蓋部 / 食塊形成 / 食塊の咽頭への送り込み |
Research Abstract |
摂食嚥下機能時および発音時における舌形態は類似する様相を呈することが知られている.本研究では,摂食嚥下機能と構音機能の両機能のリハビリテーションを考慮し,舌と口蓋との接触を補助するために形態修正を施した有床義歯の有用性を調べた.被験者として,摂食嚥下機能障害を認めかつ構音障害を認める義歯装着患者に協力を依頼した.被験者が使用している義歯に対して,発音パラトグラムが標準形態を示すように形態修正を行った.形態修正後の義歯の装着により,食塊形成能力と食塊の咽頭への送り込み能力がどのような影響を受けるかを,X線透視画像により解析した.被験食品には,バリウムクッキーとバリウム希釈液を用いた. バリウムクッキーでは義歯の形態修正前と修正後では,捕食から咀嚼開始までの時間に殆ど差はみられなったが,咀嚼開始から食塊形成までの時間は平均3.24秒,食塊形成から食塊の咽頭への送り込みまでの時間は食塊の前端で平均1.00秒,食塊の後端で平均0.12秒減少した.咀嚼回数は4回減少した.これは,義歯の口蓋部の形態を修正することで食塊形成が容易なり,さらには食塊を咽頭へ送るための舌と口蓋との封鎖が適切に行われるようになったためと考えられる.一方,バリウム希釈液では形態修正前と修正後で比較しても,食塊形成から食塊の咽頭への送り込みにおいて食塊前端が喉頭蓋谷に達するまでの時間に差はみられず,食塊後端が喉頭蓋谷に達するまでの時間も差がみられなかった.これは,バリウム希釈液は流れが良いため,口蓋部に形態変化を与えても咽頭への送り込み能力には差を生じにくかったものと考えられる. 以上より,食品性状が固体の場合は,本研究で施した義歯床口蓋部の形態修正法によって,構音機能の向上とともに円滑な摂食嚥下機能における有用性が示された.
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[Publications] 井上誠: "食品の物性の違いが顎舌協調運動に与える影響"日本顎口腔機能学会雑誌. 7巻1号. 37-45 (2001)
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[Publications] 北川純一: "咽喉頭の嚥下誘発神経に関する研究"日本顎口腔機能学会雑誌. 7巻1号. 47-52 (2001)
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[Publications] 武川友紀: "嚥下行動の認識についての検討"日本顎口腔機能学会雑誌. 7巻2号. 110-111 (2001)
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[Publications] 木内延年: "摂食嚥下障害者の舌運動評価を目的としたパラトグラム法導入の試み"日本顎口腔機能学会雑誌. 8巻1号. 7-15 (2001)
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[Publications] 宮岡里美: "食塊量の増減に伴う嚥下感覚の変化-お茶を用いた実験"日摂食嚥下リハ会誌. 5巻1号. 25-31 (2001)