2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌に対する新規光感受性物質NPe6を用いた光線力学療法の応用に関する研究
Project/Area Number |
12877321
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小林 恒 弘前大学, 医学部, 助教授 (50234860)
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Keywords | 光線力学療法 / NPe6 / 口腔癌 / ロイコトリエン |
Research Abstract |
1.ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(KOSC-2)へのNPe6を用いた光線力学療法(PDT)の効果 KOSC2(1x10^5cells)に対してNPe6とレーザー照射量を変化させ、MTTアッセイを用いて、細胞死滅率を検討した結果、NPe6 20ug/ml,レーザー照射量10J/cm^2では。細胞死滅率が50%であるが、NPe6 30ug/ml,レーザー照射量10J/cm^2では100%の死滅率であった。 2.口腔癌への応用の可能性の検討 (1)マウス舌癌モデルへの光線力学的治療 ヌードマウスの舌癌モデルを作製し、PDTを施行した。NPe6 10mg/kg投与4時間後に100J/cm^2のレーザー光を照射した。その7日後に舌を切除し病理標本を作製しPDTの舌癌に対する効果を観察した。腫瘍の破壊は認められたが,詳細な検討は現在進めているところである。 (2)臨床における口腔癌切除標本による腫瘍深達度の検討 過去10年間において当科にて口腔癌切除を行った87例に対して病理組織学的に腫瘍深達度の測定を行った。その結果、平均腫瘍深達度は6.65mmであり、2mm以下の表在性の癌は13例(15%)であった。今後2.(1)の研究から腫瘍破壊深度を測定し、どの程度の腫瘍が治療対象になるかを検討する予定である。 3.PDTによる腫瘍細胞死のメカニズムの解明 PDTとロイコトリエン類との関係を検討するために、ヒト好中球とKOSC-2へそれぞれPDTを行い、ロイコトリエン類の産生を測定するとともに細胞死の状態を観察した。その結果。好中球とKOSC-2からは、ロイコトリエンB_4の産生が認められ、特に好中球からのみ、NPe6の投与のみでもロイコトリエンB_4が産生されていた。しかし、NPe6のみの投与では細胞死を認めず、PDTの細胞死のメカニズムにおけるロイコトリエンの関与は間接的な効果であると考えられた。
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