2001 Fiscal Year Annual Research Report
表皮欠損治療における培養表皮細胞および培養粘膜上皮の移植方法の検討
Project/Area Number |
12877325
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00151803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠 賢一郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80293710)
水谷 英樹 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30167663)
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Keywords | 培養皮膚 / 人工皮膚 / 潰瘍治療 / 動物モデル / 移植基材 |
Research Abstract |
本年度の研究成果については次の通り集約される。すなわち、新しい基材の開発では主に塗布可能な細胞混合用基材について(1)カルボキシルメチル化デンプンとキトサンの複合体(CSC)、(2)抗生剤含有Pluronic、(3)糖鎖結合型アルギン酸を開発してきた。これらの基材すべてについて生体適合性(組織異害性の有無)、細胞親和性(細胞障害性の有無)を検討した。生体適合性については各種材料をヘアレスラット(HWY/SLO)10週齢背部皮下に移植し、移植後1,2,4週において炎症反応などを評価し、材料の生物学的特性を検討した。その結果、これら材料すべてにおいて若干の炎症反応が見られたものの、著明な好中球の遊走など明らかな問題所見を認めなかった。さらに(3)については従来ティッシュエンジニアリング研究に用いられてきたアルギン酸と比較して、結合組織関連細胞の遊走が顕著であり、血管新性能も更新していることが明らかとなった。次に、(1)、(2)の材料に表皮角化細胞および線維芽細胞を混合し、同様の動物の背部皮下に実験的に作製した皮膚全層欠損創へと移植(塗布)した。その結果、(2)の材料については表皮角化細胞および線維芽細胞混合群が材料単独群および対照群(フィブリンなどの基材のみ)と比較して明らかに上皮化の促進を認めている。また、(3)では(2)と比較すると顕著ではないものの細胞混合群に若干の創傷治癒促進効果を認めるに至った。以上の結果は、われわれの目的としている新しい人工皮膚のために有用である基材を提起できたと考えている。さらに、本研究ではラット背部皮下に作製した全層皮膚欠損層を通じて移植モデルが確立できた。次年度もこれら動物実験モデルを用いて、さらに新たな基材を開発することができると考えている。また、本年終盤で確立できた糖鎖結合型アルギン酸については、その高い血管誘導能より基材としての期待が高まり、次年度に行う細胞組込実験に興味がもてる。
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