2002 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザを中心とした感染症による医療費の経済的損失に関する検討
Project/Area Number |
12877377
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
加地 正英 久留米大学, 医学部, 講師 (70258408)
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Keywords | インフルエンザ / 合併症 / brain natriuretic peptide / 高齢者 / 心不全 / 心負荷 / 医療費 |
Research Abstract |
【目的】インフルエンザは合併症併発の頻度が高い感染症で、それはインフルエンザ自体の治療以外の医療費が必要となる。本研究では合併症としての心臓に対しての影響に注目して、どの様な場合に影響が大きいのを検討した。【対象および方法】対象は1999年から2002年に、インフルエンザと診断され、腎機能障害例や高血圧などない症例を対象とした。病原診断は迅速診断キットを用いた。指標としてbrain natriuretic peptide (BNP)濃度を測定した。インフルエンザA、B感染例で年齢、性別、急性期・回復期BNP濃度を比較、また両群内で40歳以上の群と39歳以下の群で比較検討した。【結果】インフルエンザA55例、B50例を対象とした。BNP濃度はインフルエンザAで急性期12.4±12.7(pg/mL)回復期9.3±10.3(pg/mL)、インフルエンザBで急性期11.5±12.4(pg/mL)回復期9.1±8.6(pg/mL)で両群の急性期、回復期で有意差が確認された(P<0.01)。なお両群の急性期と回復期のBNP濃度に差はなかった。インフルエンザAおよびBとも急性期のBNP濃度はいずれも40歳以上の年令群が39歳以下の群より有意に高く、特に40歳以上の群で急性期と回復期の比較で有意差を認めたが(P<0.01)、39歳以下では急性期と回復に関して差はなかった。【考察】BNPは左心室への負荷を反映するものであり、慢性心不全などでは上昇することが知られている。本検討からインフルエンザ感染とBNP濃度および年令の間に緊密な関連があり、高齢になるほどインフルエンザ罹患時に心室負荷が大きいと推測した。BNPの値だけで、高齢者の循環器系の障害を論議できるわけではないが、高血圧や心不全を有する患者がインフルエンザに罹患した場合にはより大きな影響を与えると推測される。そのため臨床現場で高齢者のインフルエンザでは心臓に対する大きなインパクトの可能性が考えられ、その側面からも適切な対処が医療費などの増加を抑える可能性を含んでいると考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 加地正英 他: "高齢神経疾患患者へのインフルエンザワクチン接種"感染症学雑誌. 76. 263-268 (2002)
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[Publications] 加地正英 他: "脳血管障害患者の退院阻害因子の検討"臨床と研究. 79. 1379-1384 (2002)
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[Publications] 加地正英: "新臨床内科学 第8版"高久史麿、尾形悦郎、黒川清、矢崎義雄監修 医学書院 東京. 2045 (2002)
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[Publications] 加地正英: "EBM 呼吸器疾患の治療 2003-2004"永井厚志、吉澤靖之、大田 健、江口研二編集 中外医学社 東京. 448 (2003)
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[Publications] 加地正英: "今日の診療のために ガイドライン外来診療 2003 第三版"泉 孝英編集 日経メディカル開発 東京. 436 (2003)