2000 Fiscal Year Annual Research Report
家族介護者の健康危険度を自己判定できる自己評価表の開発
Project/Area Number |
12877402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
廣部 すみえ 福井県立大学, 看護短期大学部, 教授 (50105243)
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Keywords | 介護者 / 家族 / 介護負担 / 介護疲労 / 病気 / 看護介入 / 病気回避行動 / 予防行動 |
Research Abstract |
本年度は3段階で研究を進めた。(1)文献により健康チェック表の基盤となる理論の検討:介護負担感尺度および介護負担に関連する文献,保健行動に関する文献をMEDLINE,CINAHL,医学中央雑誌により,caregiver,elderly,home,family,health-behaviorのkeywordsで検索し基盤となる理論と研究枠組みを検討した。第一段階として,介護負担と関連要因に関する文献から,家族介護者が介護負担から病気に至るプロセスをモデル化した。「仮説1:要介護状態になる→介護者に生活の変化→生活全般に介護負担感を感じる段階→自分の健康に負担を感じる段階(介護疲労が始まった段階)→慢性蓄積疲労状態→病気」第二段階ではこのモデルに基づき介護者の予防行動を高めるモデルを検討した。病気を予防するには自分の健康に負担を感じる段階,つまり,介護疲労を感じた段階で,それをサインとして適切な介護疲労軽減行動をとることが重要である。この行動は病気回避行動であると考えた。(2)実態調査:(1)の文献レビュで,介護疲労を計測する尺度の開発研究は1件見られたのみであり,介護疲労軽減行動に関する研究は皆無であった。その為,福井県下の2町で在宅要介護老人の主家族介護者を対象に介護疲労と疲労軽減行動に関して訪問面接調査を80名に対して実施した。 (3)(1)(2)の結果から介護疲労軽減行動モデル(仮説2)の作成:保健信念モデルを参考に,介護疲労の認知から介護疲労軽減行動にいたるプロセスをモデル化した。介護疲労軽減行動は,「病気への脆弱性」「介護疲労の重大性」や「対処に対する無力感」,「援助期待」等の介護者の認知が基盤となり,「疾病体験」「疲労への感受性」等の個人特性および健康状態,「対応行動による負担の認知」,「専門家のアドバイス」,「家族支援」が影響すると仮説化した。家族介護者の健康危険度が増した状態とはこの軽減行動が低下した状態であると操作的に定義した。
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