2001 Fiscal Year Annual Research Report
電子レンジ加熱した市販総菜中の内分泌攪乱化学物質濃度の測定
Project/Area Number |
12878016
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
冨永 典子 お茶の水女子大学, 生活環境研究センター, 助教授 (30164031)
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Keywords | 内分泌攪乱化学物質 / ビスフェノールA / フタル酸エステル / 食品 / 容器 / 電子レンジ加熱 |
Research Abstract |
内分泌攪乱化学物質(ビスフェノールA、フタル酸エステル類)の食品容器から食品への移行の測定例は現在までのところ少ない。そこで本研究は基礎的データを得る目的で、近年ますます購買層の拡大しているプラスチック容器入りの総菜に着目し、購入時及び電子レンジ加熱した後のビスフェノールAとフタル酸化合物を測定した。 1)フタル酸化合物:周りの環境からの混入を排除するのはなかなか困難で、ブランクは高い値となった。 クリーンアップは、日本環境化学会の定めた方法を一部改変したのみで割合簡単に行え、抽出効率は75〜85%であった。同定はGCMSで、測定は逆相HPLC、絶対検量線法で行った。本法では10種のエステルが分離可能であったが、定量下限値を超えて頻繁に検出されたのはフタル酸ジ-n-ブチルフタル酸ジブチルベンジル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルで、この3種物質により、脂肪分の多い食品に溶出しやすさ、レンジ加熱による増減などは異なった。 2)ビスフェノールA:蛍光検出器を用いたHPLCで感度よく測定できるが、試みたクリーンアップ法2種では食品中の來雑物を除けず,Tsuda, T. et al., J. Chromatogr. B, 723, 273(1999)の方法で抽出、クリーンアップ後、同定、測定共にGCMSで行った。標準物質の測定を6回以上行い、標準偏差(s)を求め、3_sを検出下限値、10_sを定量下限値とした。食品4種を用いて測定したところ、食品中の脂質が多いほどビスフェノールA(BPA)含量は高く、加熱後のBPAは増加していた。また、容器にサラダ油を入れ、室温に3h放置、100℃5minおいたものを比べたところ、BPAの移行は後者で高かった。食品中、1食分で1日の許容摂取量の6%というものが最高であったが、今後食品の取り方によっては無視できない値となる可能性もある。
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