2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12878018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 慶一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90068247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 徳夫 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (60176352)
中西 剛 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50303988)
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Keywords | 食品添加物 / コウリャン / T細胞 / B細胞 / 免疫機能修飾 / 食物アレルギー |
Research Abstract |
本研究は、食品添加物の食物アレルギー誘導性について、食品添加物の免疫機能修飾能を中心に検討を行うことを目的としている。本年度は、汎用されている天然着色料7種、合成着色料3種のT細胞、およびB細胞に与える影響について検討を行った。その結果、天然着色料であるコウリャン色素は単独ではB細胞に対し増殖作用を示した。またT細胞に対しては単独では増殖作用を示さなかったが、抗T細胞レセプター抗体で刺激した際の増殖反応をさらに促進した。しかしコウリャン色素は、T細胞マイトージェンであるコンカナバリンA(ConA)で刺激した際には、前述のような増殖反応に対する相乗効果を示さなかった。抗T細胞レセプター抗体で刺激した際にコウリャン色素が作用するT細胞集団をさらに詳細に検討したところ、コウリャン色素はCD8^+T細胞ではなくCD4^+T細胞に対してのみ相乗作用を示した。さらにこのような刺激を与えた際のサイトカイン産生を検討したところ、CD4^+T細胞においてのみTh1型のサイトカインであるIFN-γ産生の亢進が確認された。一方、アレルギー誘導時に産生されるTh2型サイトカインのIL-4産生は抑制されていた。以上の結果から、コウリャン色素による免疫機能修飾は、食物アレルギーを誘導するというよりも、むしろ免疫偏向をTh1有意にしてアレルギー状態を改善する作用を有する可能性が示唆された。またコウリャン色素の作用は、従来のT細胞に対するin vitro機能修飾(毒性)試験法のConA刺激増殖反応では全く認められなかったことから、食品添加物などに対する免疫機能修飾試験法は、生体のT細胞増殖反応を反映した刺激を与えた系で行うべきであることも示唆された。
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