2000 Fiscal Year Annual Research Report
「ズーム」推論モデルの計算機上での実現とフレーム問題への適用
Project/Area Number |
12878054
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村井 哲也 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90201805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 峰一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60205101)
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Keywords | 様相論理 / フィルタ化 / 決定問題 / 推論 / 商集合 / 同値関係 / フレーム問題 / クリプキ・モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、人工知能における難問と考えられるフレーム問題を生み出す原因である現代記号論理の完全記述指向の問題に焦点を絞り、論理主義自体を否定する立場はとらず、むしろ、問題の原因をフレーゲによる述語論理の革新に求め、それ以前のアリストテレスの三段論法と比較、考察することによって、完全記述を要求しない推論システムを構成することである。本研究は2年計画であり、本年は理論の構成をめざした。来年度は計算機上に実装して実験を行う予定である。 ラフ集合論では個体の集合を可能世界の集合とみなして、述語論理のモデルを様相論理のクリプキ・モデルで記述する。ここで、決定問題を解く方法である「ろ過法」を使って、可能世界を有限個の同値類とする商モデルを構成する考えが浮かぶが、一つの問題点が生じた。通常のろ過法は注目する論理式の集合のすべてを利用して同値関係を定義し、商集合を構成する。これは決定問題の場合、何の支障も無い。しかし、推論をこの種の方法でモデル化する場合、前提となる論理式で商集合を構成して、結論の妥当性を見る必要がある。前提と結論に含まれる論理式が、注目する論理式の集合だから、その一部を使って商集合を構成する必要がある。 そこで、新たに「相対的ろ過法」と呼ぶ方法を提案した。前提に含まれる論理式に基づいて構成した同値関係が、結論の論理式の真理集合(それを真とする世界の集合)をラフ集合の意味で近似できる。その結果、下近似、上近似ろ過法を定義できた。特に、述語論理における特徴的な論理式である、全称式と存在式の妥当性がそれぞれ、元のモデルの下近似、および、上近似ろ過法で構成した商モデルにおける妥当性に対応することを明らかにした。この手続きは、すべての構成要素を個体と述語のレベルまで還元するフレーゲの方法と異なり、アリストテレスのように主語と述語のレベルで推論を実行できることを示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Murai: "On an Interpretation of some Real-Valued Logics by Means of Probability Theory"Journal of Advanced Computational Intelligence. 印刷中. (2001)
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[Publications] T.Murai: "Modal Logic, Rough Sets, and Fuzzy Sets"Soft Computing for Human-centered Machines. 35-55 (2000)
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[Publications] M.Kudo: "An MDL-Based Classifier for Multidimensional Space"Proceedings of 4th World Multiconference on systemics, Cybernetics, and Informatics. 498-503 (2000)
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[Publications] T.Murai: "Discovery of Association Rules and Rough-Set-Based Concept Learning"Proceedings of 4th World Multiconference on Systemics, Cybernetics, and Informatics. 504-508 (2000)
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[Publications] T.Murai: "Degrees of Significance and Generation of an Accessibility Relations"Proceedings of the 4th Int. Conf. on Knowledge-Based Intelligent Information Systems. 487-490 (2000)
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[Publications] T.Murai: "Generation of Non-Transitive Chains from Rational-Valued and Real-Valued Fuzzy Subsets under Rough Set Theory"Proceedings of the 4th Int. Conf. on Knowledge-Based Intelligent Information Systems. 585-588 (2000)