受容体型抗体の創製による簡易内分泌かく乱物質測定系の開発

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12878088
• Research Institution: Osaka Kyoiku University
• Principal Investigator: 片桐 昌直 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00185802)
• Keywords: モノクローン抗体 / エストラジオール / 内分泌攪乱化学物質

Research Abstract

本研究は、蛋白質工学の手法を用い、本来抗体が持っている交差反応性をうまく改変することにより、内分泌かく乱物質に対する結合特性がエストロゲン受容体と類似した抗体(受容体型抗体>を創製し、その抗体を用いた酵素免疫測定法を開発することである。咋年度に取得したモノクローン抗体は、全てIgMであったため再度、抗エストラジオール抗体を調製し、β-ESTRADIOL6-(O-CARBOXYMETHYL)OXIME : BSAを用いた、間接競合法により各種ステロイドホルモンに対する交差反応性を検討した。さらにProtein Aにより精製した本抗体をSDS-PAGEにより軽鎖と重鎖とに分離後、エレクトロプロットによりPVDF膜に転写し、気相アミノ酸シーケンサーにより、N末端より20残基まで配列を決定した。その後、本抗体の生産細胞よりRNAを取得し、さらにmRNAに精製し、cDNAを逆転写酵素により合成した。先ほどのアミノ酸配列7残基より合成したプライマーと定常領域のプライマーを用い、PCRにより各鎖の可変領域のcDNA断片を取得した。各断片の塩基配列を決定後、各断片をリンカー配列により結合することにより一本鎖Fv<scFv)断片とし、ファージ提示系のプラスミドに挿入した。発現したscFvを、抗ファージ酵素標識抗体を用い間接競合法により、抗原結合能を確認することが出来た。残念ながら結合は弱かったが、今後、発現量や重鎖と軽鎖の結合の順を代えるなどにより反応性を上げて行きたい。さらにこの発現系を用い、交差反応性、特に環境ホルモン類に対する反応性を検討した後、抗原認識部位(CDR)に変異を導入し、環境ホルモンに対する反応性の変化を検討したい。なお、現在、環境ホルモンとして問題になっているエチニルエストラジオールに対するモノクローン抗体のN末端アミノ酸配列や軽鎖、重鎖可変領域cDNAの塩基配列決定なども行っており、これらの配列との比較からも有益な情報を得ている。