2000 Fiscal Year Annual Research Report
環境発がん物質の代謝に係わる大腸菌の酵素遺伝子の検索と遺伝子産物の解析
Project/Area Number |
12878094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
善野 修平 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90313204)
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Keywords | ニトロ還元酵素 / NfsA / FMN / 環境発がん物質 / 大腸菌 / フラビン蛋白 / NADPH |
Research Abstract |
平成12年度は、ニトロ還元酵素活性の主要成分であるNfsAに関して、立体構造の決定と反応特異性に関与する残基の同定を行なった。先ず、大腸菌過剰発現系からNfSA蛋白を精製し、ハンギ ングドロップ蒸気拡散法で結晶化した後、X線回折により1.7オング ストローム分解能までの構造を決定した。その結果、NfsA構造はFMNを活性中心に持つ直径約45オング ストロームのホモ2量体で、そのサブ ユニットは12個のαヘリックスと5つのβストランドから成り、単独で活性ポケットを形成しえる、つまり単量体酵素としても機能しえることが示唆される。次に、基質認識に重要と推定されたフレキシブ ルなループ構造(202-211)内のArg203あるいはArg208のAla置換体を作製し、NADPHの特異性に関する影響を調べた。R208A置換体は野生型と同様なNADPH特異的酵素であったが、R203A置換体はNADPHに対する親和性、反応性を一桁以上減じたNAD(P)H型酵素に変化した。この結果はR203がNADPHのリン酸残基と相互作用することにより、NADPH特異性を発現することを示唆する。さらに、構造から推定できない反応特異性に関与する残基の同定のために、ランダム変異導入したNfsAライブラリーを1000クローンについてスクリーニングした。NADH特異性がアップするF42L、その逆にダウンするN134S、そしてFMN特異性がアップするL102S,Y128H,R225Lの5つの変異クローンを得た。これらの変異は全て活性ポケットかその周辺に位置し、Y128H,N134S,R225Lでは水素結合の破壊が予測され、ポケット構造全体のフレキシビリティ変化を導く可能性が示唆された。現在、他のニトロ還元酵素遺伝子候補であるnfsB,f196b,orf183の産物についての解析準備を始めている。
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Research Products
(1 results)