2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12878097
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹下 健二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (80282870)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 均 北里大学, 医学部, 講師 (80265701)
|
Keywords | 藻類 / Chlorella vulgaris / 重金属回収 / 収着機構 / イオン交換 / 土壌回復 / 土壌水 / 環境保全 |
Research Abstract |
本研究では、安価でかつ環境への負荷が少ない単細胞緑藻類Chlorella vulgaris(以下C.Vulgaris)を用いて汚染土壌及び土壌水からの重金属の回収プロセスの成立性について検討した。既往の研究では、単細胞緑藻類の重金属収着については収着メカニズムの検討が十分ではないことから、対象金属をカドミウム、銅、亜鉛、鉛とし、模擬汚染土壌水のpHやイオン強度などを変化させて単細胞緑藻類への重金属収着メカニズムを検討した。C.Vulgarisによる金属の収着はpHの影響を強く受け、pHが低いほど収着容量も減少した。また、金属が収着することにより溶液のpHは低下し、液層中にH^+が放出された。収着はイオン交換反応により起きていることが示唆された。そこで、液層中に放出されるH^+量を定量し、収着容量と放出されるH^+量の関係から、金属収着に関与している官能基の数を明らかにした。その結果、銅のみが二座配位で、他の金属は単座配位であった。 以上の結果から、次に種類の銀を含む水溶液にC.vulgarisを添加した場合における金属収着の選択性を調べた。まず、単一金属のみが存在する系で二優位に収着される金属の順序は、鉛>銅>>カドミウム>亜鉛であった。一方、二成分収着系における金属の優位性は、銅>鉛>カドミウム〜亜鉛であり、単成分収着系とはその順序が異なった。収着される金属の優位性は、金属と官能基の親和性が大きく影響していると考えられるが、二成分収着系では、その親和性に加え、多座配位の金属が優位性に収着されることが示唆された。また、土壌を含むスラリーからの金属回収も行ったが、イオン強度が高くなりすぎない(0.01M以下)場合には土壌水と同様に金属イオンが回収できることがわかった。これらの結果は単細胞緑藻類C.vulgarisによる汚染度浄水の回復を目的としたバイオプロセスの合理的な設計に対して有用な知見となる。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] K.Takeshita, J.Fujita, Y.Nakano: "Biosorption of Heavy Metals to Chlorella vulgaris"Proc. of IWA 2^<nd> World Water Congress (Berlin). CD-ROM. 2055 (2001)
-
[Publications] 竹下健二, 藤田純, 中野義夫, 石川均: "藻類による水溶液中のソフト金属回収"化学工学会第66年会研究発表講演要旨集. Q312 (2001)
-
[Publications] 藤田純, 竹下健二, 中野義夫, 石川均: "藻類を用いた水溶液からの重金属回収"化学工学会第34回秋季大会研究発表講演要旨集. E121 (2001)
-
[Publications] 竹下健二, 藤田純, 中野義夫: "単細胞緑藻類Chlorella vulgarisによる重金属の生物濃縮"第17回日本イオン交換研究発表会講演要旨集. 32 (2001)
-
[Publications] 竹下健二, 藤田純, 中野義夫: "単細胞緑藻類の重金属イオン収着能を利用したBiosorptionプロセス"化学工学会第67年会研究発表講演要旨集. J206 (2002)