2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12878099
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
戸田 任重 信州大学, 理学部, 助教授 (60291382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱 健夫 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (30156385)
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Keywords | 河畔湿地 / 硝酸性窒素 / 地下水 / 脱窒 / 窒素 |
Research Abstract |
諏訪湖流域の原村周辺は、国内有数の高原野菜の産地であり、また多施肥のため地下水中の硝酸性窒素濃度が高いことでも知られている。この原村付近を、八ケ岳中腹から南西に向かって多数の小河川が流れ、それらはすべて宮川に合流し、宮川は北西方向に流れて諏訪湖に注いでいる。これらの小河川の両側数〜十数メートルの幅には、水田、休耕田、湿地が帯状に連なり、いわゆる河畔湿地帯を形成している。 矢の口川は原村を横切って宮川に注ぐ小河川の一つであり、河川水の硝酸性窒素濃度は年間を通して10-15mgN/Lと高い。矢の口川にも河畔湿地は存在するが、周辺の農耕地からの排水は、排水路を経由して直接矢の口川に流入しているのが現状である。観測時の矢の口川の硝酸性窒素濃度が7-11mgN/Lであったのに対し、河畔湿地の地下水は多くの場合1-2mgN/L以下であった。この河畔湿地では、地下水位が20〜70cmと高く、しかも地下水の溶存酸素濃度は0.5mgO_2/L以下でかなり嫌気的な状態であった。この河畔湿地では、低酸素、湿地植生からの有機物供給、周辺には硝酸性窒素濃度の高い水の存在が認められ、脱窒に好適な条件が整っている。一見すると、この河畔湿地でも微生物の脱窒作用により地下水中から硝酸性窒素が除去されているようにも見える。しかし、この河畔帯は礫が多く、観測井の設置は容易ではない。現在までのところ、辛うじて4本の塩ビパイプを埋め込んだのみであり、湿地周辺の地下水の流れの把握には遠く及ばない。また、脱窒の直接的証拠もまだ捉えられていない。矢の口川の河畔湿地でみられる硝酸性窒素濃度の低下のメカニズムをを明らかにしていくためには、地下水の3次元的把握とともに、現場での脱窒測定が必要であろう。
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Research Products
(1 results)