2000 Fiscal Year Annual Research Report
赤外パルスレーザによるバクテリオロドプシンプロトンポンプ機構の制御
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12878121
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水上 卓 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (50270955)
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Keywords | レチナール蛋白質 / バクテリオロドプシン / 反応制御 / 赤外パルスレーザー |
Research Abstract |
平成12年度の実施結果 1.赤外レーザパルス励起・観測系の整備 バクテリオロドプシンのフォトサイクル反応を開始するための、励起用YAGレーザ2倍波生成系を新しく設置した。 ほんらい現有装置を使用する予定であったが、試行の結果、十分な時間分解能が得られないことが判ったので、当補助金を一部用いて新しく整備を行った。交付時期が遅れたために平成12年度2月下旬の設置となり、現在ひきつづき観測系の確立を進めている。 2.可視吸収分光によって得られた知見 赤外レーザパルス励起系の整備と並行して、以下の研究を行った。 バクテリオロドプシンと同様の反応および立体構造を持つレチナール蛋白質を用いた可視吸収による液体窒素温度領域における速度論的実験を行った。その結果から、反応速度がデルタ関数ではなく、ガウス関数状に分布していることを見いだした。それぞれのガウス関数の形状(中心値、半値幅)は、それぞれの中間体に固有の値をとった。実験およびデータ解析の環境整備に、本補助金を使用した。 これらの分布した状態は、算出された中間体の可視吸収スペクトルでは測定精度内で区別が付かないことから、発色団レチナールの構造ではなく、中間体の遷移を制御する蛋白質の構造が異なっているものと推察される。この現象は、従来ひとつの中間体と呼ばれたステートが、数多くの少しずつ構造・反応係数の異なる微細なステートの分布したものであるという示唆を与える(ネットフロー的反応)。すなわち、これらの微細なステートを赤外レーザーパルスによって選択的に励起できる可能性が出てきた。 バクテリオロドプシンにも同様の現象が起っていると考えられ、引き続き調査を行っている。 本研究の成果は、日本生物物理学会(2000年9月16日 東北大)、光化学討論会(2000年9月25日 北大)にて発表された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Takemori,T.Mizukami,K.Tsujimoto: "Chloride Effect on Retinochrome Photointermediate"ITE Letters on Batteries, New Technologies & Medicine. (発表予定).
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[Publications] Y.Imamoto,T.Mizukami,K.Tsujimoto,F.Tokunaga: "Roles of Amino Acid Residues Near the Chromophore of Photoactive Yellow Protein"Biochemistry. (発表予定).