2001 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素上皮細胞への遺伝子導入による網膜再生関連分子の機能評価法の確立
Project/Area Number |
12878150
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 親文 筑波大学, 生物科学系, 講師 (80272152)
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Keywords | 再生 / 網膜 / イモリ / cDNAサブトラクション / Notch / Delta / Pax-6 / Neurogenin |
Research Abstract |
色素上皮(RPE)細胞への遺伝子導入と眼球内移植技術がほぼ確立したことを受けて、再生関連遺伝子の単離を始めた。 網膜発生遺伝子の発現:目の形態形成遺伝子であるPax-6の発現について調べた結果、RPE細胞が細胞質分裂を始める再生10日で発現することが分かった。神経分化を抑制し、幹細胞の性質を維持する働きがあるとされるDelta-Notchシグナル系の遺伝子の発現について調べた結果、Hes-1とDelta-1は再生0日で発現しており、Notch-1は1〜2層の再生網膜が現れる再生19日になって始めて発現することが分かった。このことは、受容体であるNotch-1よりもそのリガンド(Delta-1)とエフェクター分子(Hes-1)の方が先に発現していることを示している。神経分化を促進するNeurogenin遺伝子の発現についても調べた結果、再生0日で発現していることが分かった。Neurogeninの発現量は、再生19から23日にかけて急激に高まり、再生が進むと減少した。Neurogeninの発現増加に伴い、神経細胞の形質(N-CAMや電位依存性Naチャネル)が発現することから、Neurogeninが網膜再生においても神経分化をpositiveに制御している可能性が示唆された。現在、それらの時空間的発現様式について解析中である。 再生特異的遺伝子の単離:イモリ網膜再生過程で、発生の遺伝子プログラムが再起動するにはおよそ10日かかると推定される。そこで、再生に特異的な遺伝子を得るため、再生10日までに発現が変動する遺伝子をcDNAサブトラクション法により単離することを試みた。現在、再生10日で発現が減少するcDNAが約1000クローン、増加するcDNAが約500クローン得られている。今後、配列を調べ、再生における発現や機能について解析する予定である。
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Research Products
(1 results)