2000 Fiscal Year Annual Research Report
サル側頭葉内側部における非言語的コミュニケーションの神経機構
Project/Area Number |
12878151
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
堀 悦郎 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (90313600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永福 智志 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (70262508)
西条 寿夫 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (00189284)
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Keywords | 非言語コミュニケーション / 顔表情 / 視線方向 / 側頭葉 / ニューロン / サル / 辺縁系 / 非侵襲的 |
Research Abstract |
本研究では、視線と表情による非言語的コミュニケーションの認知機構を総合的に解明するため、1)様々な表情および視線方向の顔写真を用いて、サル側頭葉内側部ニューロンの応答性を解析する(神経生理学的研究)。2)顔表情認知課題遂行時のヒトの脳機能を非侵襲的に解析する(神経心理学的研究)。1)神経生理学研究:本年度は、実験システムを構築するため、コンピュータによる視覚刺激呈示装置、ニューロン活動記録用の多チャンネル生体増幅器、波形解析用のコンピュータなどを用い、これら実験機器と顔表情の認知課題を制御するためのコンピュータプログラムを作成した。本システムを用いてサルに顔表情の遅延非見本合わせ課題を学習させ、90%以上の正答率で本課題を行うことが確認された。その結果、サルは個人の識別とは関係なく、顔表情を識別できることが判明した。現在、顔表情の認知課題を遂行中のサル側頭葉内側部から、ニューロン活動の記録を行っている。2)神経心理学研究:様々な視線方向と表情を組み合わせた顔表情刺激が健常被験者の注意に及ぼす影響を解析した。課題では、顔刺激をディスプレイの中央に呈示し、その後、ディスプレイの右あるいは左に標的を呈示して被験者が標的を検出するまでの反応潜時を測定した。その結果、顔刺激の視線方向と標的出現方向が一致する場合は、顔刺激の視線方向と標的出現方向が一致しない場合に比べて、反応潜時が有意に短くなっていた。さらに、顔刺激の表情が笑顔の場合には、他の顔表情の場合に比べて、視線方向と標的出現方向が一致する場合の反応潜時が有意に短かった。以上より、標的の出現する前に呈示された顔刺激表情とその視線方向により、被験者の注意の方向が偏位することが明らかになった。現在、この結果を非侵襲的に解析することを計画中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 梅野克身,永嶋義直,高倉大匡,矢田幸博,堀悦郎,小野武年,西条寿夫: "暗算負荷中の呼吸循環動態および脳波の線形解析"自律神経 . 第37巻・第5号. 572-579 (2000)
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[Publications] Etsuro Hori,Eiichi Tabuchi,Ryoi Tamura,Nobuhisa Matshmura,Satoshi Eifuku,Syunro Endo,Hisao Nishijo,and Taketoshi Ono: "Neural representation of place in the monkey hippocampal formaion."Society for Neuroscience Abstract. 26. 173.3 (2001)