2000 Fiscal Year Annual Research Report
家蚕遺伝子資源の安定的維持を目指した日本・中華人民共和国における保存系統の特性調査
Project/Area Number |
12896002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伴野 豊 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (50192711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河口 豊 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (80038306)
藤井 博 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10038268)
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Keywords | カイコ / 遺伝子資源 / 中国 / 日本 / 系統保存 / 遺伝子 / ジーンバンク |
Research Abstract |
九州大学では保有する家蚕遺伝子資源の特性を「家蚕遺伝子資源系統の特性情報」として公開してきた.しかし,中国の主要な家蚕遺伝子資源を保有する西南農業大学における家蚕系統も関しては保存事業の詳細な状況が不明であった.この原因は両大学における系統保存業務に直接関わる研究者が,対象となる家蚕突然変異系統の性状について同一場所で共同して形質調査が行われる機会が少なく,保有系統が新規な特性であるか判定するかが困難であったことに起因する.そこで本研究では相互に研究者が往来し,両大学における家蚕遺伝子資源系統の特性を検討した.その結果,西南農業大学には503の家蚕遺伝子資源系統が現存することが判明した.九州大学で発刊した(1992)「家蚕遺伝子資源系統の特性情報」をべースに類似性を検討したところ,約350系統が九州大学と重複した突然変異系統であること,九州大学に保有する系統と遺伝的同一性を検討する必要のある系統が50系統程存在することが判明した. 一方,日本国内における系統保存事業は各機関共に系統事業を担う専門家の確保が極めて困難であり,系統維持事業は縮小しており,九州大学でのみ維持される遺伝子資源系統が多いことも本研究から判明した.しかし,複数機関で重複して保存される系統も多く見られるので,各機関の協力があれば国内の機関のみでも現有する遺伝子資源を複数で相互にバックアップした体制での維持が可能であると考えられた.
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