2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12CE2003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高山 和喜 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40006193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐宗 章弘 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (40215752)
林 一夫 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30111256)
井小萩 利明 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (90091652)
小原 拓 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (40211833)
齊藤 務 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (00302224)
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Keywords | 衝撃波 / 複雑媒体 / 衝撃波医療応用 / 衝撃波地球科学への応用 / ホログラフィー干渉計 / 数値流体力学 / 衝撃波産業応用 / 分光計測 |
Research Abstract |
平成12年3月21日に衝撃波学際研究拠点実験棟が完成したので、ここに大型衝撃波管、二段式軽ガス銃などの主要装置を移設し、また、平成12年,13年度に購入した装置と計測装置を設置した。これらの実験装置の特性解明を中心に当初計画に沿う実験研究と、数値解析的研究が実施された。 (I)複雑媒体中の衝撃波現象の解明 (1)衝撃波の基礎的挙動 i)くさびを過ぎる衝撃波のマッハ反射は必ずしも自己相似とはならないことを実験的に数値解析的に明らかにしている。これは空気力学の分野の大きな貢献である。 ii)物体を過ぎる渦と衝撃波の複雑な干渉過程を明らかにしている。また、微粒子を含む媒体中の衝撃波伝播モデルを確立し、複雑媒体中の衝撃波挙動の解明に大きな指針を与えている。 iii)各種無隔膜衝撃波管の設計と製作に関する開発研究を実施、その作動特性を明らかにしている。衝撃波管実験研究に独創的な展開を許す基礎を確立している。 iv)衝撃波現象の可視化計測にホログラフィー干渉計を導入し、衝撃波現象の定量計測に成功して、複雑媒体中の衝撃波の定量計測に大きな貢献を果たしている。 (2)複雑媒体中の衝撃波の挙動 i)非一様媒体としての水中に分布させた人口イクラ、寒天球および一枚あるいは複数枚重ねたガーゼを過ぎる微小爆発で発生した球状衝撃波の減衰を計測し、またホログラフィー干渉計法を用いる可視化計測でその挙動を明らかにすると同時に、数値との比較を行っている。これらの知見は生体中の衝撃波伝播のモデル形成に貢献するデーターである。 ii)水中および気中で微小爆薬を爆発させて球状衝撃波を発生させる技術を確立し、パルスレーザー光照射で起爆する方式の有効性と、円筒状爆薬への照射位置の違いによって発生する球状衝撃波の初期形状の差異を明らかにし、また、起爆最小エネルギーを求めることに成功している。また、微小爆発と大規模爆発との間に相似則が存在することを明らかにしている。 iii)一様に気泡が分布する液体中の衝撃波伝播と減衰を解明することを目指し、直径10ミクロンのリポゾーム懸濁液の作製技法を確立し、これらの液体中での衝撃波伝播を可視化した。また、その数値シュミレーション法の開発を実施中である。 iv)ポリウレタンフォーム、粒子状物体を過ぎる衝撃波の挙動をホログラフィー干渉計法およびスペックホログラフィー法で明らかにしている。 v)金属および
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複合材料中にプラスチック飛行体が4〜5km/sで衝突するとき、衝突の瞬間に発生する温度を分光分析によって推定し、約9,000Kとなることを明らかにしている。また、金属あるいは複合材料への高速衝突で電磁波の発生を確認し、斜め衝突角度によって衝突孔の形成は著しい影響を受けることを明らかにしている。これらの結果から速度8km/sを実現する技術的な見通しを得ている。 vi)パルスホロミウムヤグレーザー光をガラスファイバーを通して水中に導き集光させてミクロな衝撃波の発生に成功し、衝撃波の特性を解明して、これが衝撃波医療に有効な手段となることを明らかにしている。また、レーザー光衝撃波発生と応用の新分野の展開が期待されている。 (3)高粘度媒体中の衝撃波、気泡と衝撃波 i)高粘度シリコーン油中の気泡と衝撃波の干渉をホログラフィー干渉計法を用いて計測し、粘性効果が気泡運動に及ぼす効果を明らかにしている。また、液中微小爆発、高速物体の衝突などを用いて各種衝撃波を発生する技術を確立している。 ii)粘弾性媒体が衝撃波あるいは膨張波負荷によって破壊する効果を実験的に明らかにしている。これは火山噴火でのマグマの微粒化を発生する機序の基礎となる知見である。 (II)実験装置・計測法および数値シュミレーション法の開発 (1)実験装置・計測法の開発 i)断面300mm×300mmおよび60mm×150mmの二種類の縦型衝撃波管を設計・製作して、その特性を明らかにし球など粒子状分散媒体、フォームあるいは多孔媒体中の衝撃波伝播を明らかにしている。また、この衝撃波管を多相媒体の実験に利用できるように支援技術を整えている。 ii)液体窒素、液体アルゴン、ヘリウムI中にガラスファイバーを通してパルスレーザー光を導き集光させて衝撃波を発生する技法を開発している。この方法を用いて極低温液体中の衝撃波研究は非常に容易になり、ホログラフィー干渉と組合わせ定量計測を実施している。 iii)水中で高繰り返しパルスレーザー光を交差させ、その交点での熱音響効果から水中衝撃波背後の温度を非接触的に計測する技術を開発している。これは画期的な計測技術で今後の水中衝撃波の実験に飛躍的な発展を促すものである。 iv)ホログラフィー干渉計法とカラーシュリーレン法とを組み合わせ、複雑な衝撃波現象の解明に有効な従来にない計測法を確立している。 v)直径1mのシュリーレン鏡を導入して、大きな視野での衝撃波管実験を行い、従来の実験精度では得られなかった様々の衝撃波の振る舞いを明らかにしている。特に、大型縦型衝撃波管の試験気体中にコヒーレントな乱流構造を発生することに成功し、衝撃波と乱流の干渉に画期的な実験法を確立している。 (2)数値シュミレーション法の開発 i)球列および円筒列を過ぎる衝撃波の減衰など複雑境界を過ぎる衝撃波現象の模擬および大規模爆風伝播の模擬に有効な構造格子および非構造格子差分法を用いる数値計算法を確立している。 ii)微粒子を含む気体中の衝撃波伝播の数理モデルを見直し、数値シュミレーション法を開発し、粒状物体流れの数値解法を開発している。 iii)巨大隕石の衝突を模擬するために数値解法を開発している。 (III)衝撃波医療への応用 (1)脳血栓血行再建術の確立 i)脳血栓血行再建術の臨床応用研究では、試験管実験から動物実験に移行している。 ii)Qスイッチホロミウムヤグレーザー光を光ファイバーで水中に導き、気泡と衝撃波を発生しこれらを干渉させて、治療効果が期待できる高速水流を発生する原理を見出し、これを脳腫瘍の手術に応用可能なジェットメスの開発に成功している。 (2)レーザーアブレーションドラッグデリベリー法 パルスレーザー光を金属膜に照射してレーザーアブレーションを発生し、この原理を援用して粒状の薬剤を体内に導入する新しいドラッグデリベリー法を開発し、特に、遺伝子をまぶした金粒子を細胞内に導入する画期的な手法に利用できることを明らかにし、鼠肝臓細胞に6mmの貫通効果を確認し、今後の発展が期待できる効果を得ている。 (3)ガン細胞が衝撃波照射で鑽孔される事実を解明する実証実験が進行中である。 Less
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Saito, T.Eguchi, K.Takayama, H.Taniguchi: "Hazard predictions for volcanic explosions"Journal of Volcanology and Geothermal Research. 106. 39-61 (2001)
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[Publications] Sasoh A, Hamate Y, Takayama K: "Small-Bore Ram Accelerator Operation"J Propulsion & Prower. 17・3. 622-628 (2001)
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[Publications] L.F.Henserson, K.Takayama, W.Y.Crutchfield, S.Itabashi: "The persistence of regular reflection during strong shock diffraction over rigid ramps"Journal of Fluid Mechanics. 431. 273-296 (2001)
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[Publications] G.Jagadeesh, O.Onodera, T.Ogawa, K.Takayama: "Visualizing Micro-Air Blast using Double Exposure Holographic Interferometry"ICHSPP24, Proceedings of SPIE. 4183. 788-797 (2001)