2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12CE2003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井小萩 利明 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (90091652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 一夫 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30111256)
佐宗 章弘 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40215752)
齋藤 務 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (00302224)
小原 拓 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (40211833)
谷口 宏充 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (70125251)
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Keywords | 衝撃波 / 複雑媒体 / 衝撃波医療応用 / 衝撃波地球科学への応用 / ホログラフィー干渉計 / 数値流体力学 / 衝撃波産業応用 / 短時間計測 |
Research Abstract |
特別推進研究「複雑媒体中の衝撃波現象の解明とその学際応用」では、(1)複雑組成の媒体中の衝撃波現象、(2)化学変化、相変化を伴う媒体中の衝撃波現象、(3)複雑境界を過ぎる衝撃波、また、極低温および高温境界を過ぎる衝撃波、および(4)きわめて大きな時間変動を伴う衝撃波現象を解明し、その成果を医療、地球物理など学際領域研究に発展させ、また、産業応用への展開の基盤技術の確立を目指した。また、この本研究拠点が国内外に衝撃波学際応用研究センターとなることを目標に研究を推進した。ここに、過去および最近5年間の衝撃波研究の成果が体系化され、本拠点活動が国内の衝撃波研究会活動を支援するばかりでなく、平成17年3月に国際衝撃波学会(International Shock Wave Institute)の設立に結びついたこと述べ、特別推進研究「衝撃波」を総括する。主な研究成果は: i)基礎的研究くさびを過ぎる衝撃波反射に粘性効果に起因する遷移遅れを実験と精緻な数値模擬結果との対比から、始めて実証した。この現象が凹面および凸面さらに円錐面にも現れることを明らかにし、流体力学の教科書を書き直すに足る事実を見いだしている。また、大型縦型衝撃波管内に加速度計を内蔵した球を吊し衝撃波を負荷するという巧妙な実験で、衝撃波負荷での球の非定常抗力を実測し、衝撃波ないし爆風負荷での各種形状物体の非定常抗力計測に始めて成功している。この結果は数値模擬法との組み合わせで、粉塵気体中の衝撃波伝播に非定常抗力の効果明らかにしている。縦型無隔膜衝撃波管、大型無隔膜衝撃波管などを設計法を開発して、衝撃波の実験研究の精度を飛躍的に向上させ、また、衝撃波研究に微小爆薬の爆発を導入するなど、独創的な衝撃波実験法を発展させている。高性能の二段式軽ガス銃を設備し、弾道飛行実験装置の機能を加えて、高速飛行および高速衝突の動力学の体系化に成功している。直径1mのシュリーレン鏡を導入して大視野で、高レイノルズ数流れの二重露光ホログラフィー干渉計測定法を確立し、さらに、これを位相変位ホログラフィー干渉計法を展開し、音波に近い非常に弱い衝撃波の計測に成功している。気体、液体、混相媒体中の衝撃波現象の解明に適した数値模擬法を開発している。 ii)水中衝撃波現象の解明とその医療応用 医学部の共同者と衝撃波の医療応用を推進し、衝撃波医療システムが構築されようとしている。水中でパルスレーザー光照射でのマイクロ衝撃波発生の物理を解明し、成果を種々の医療装置開発に結びつけることに成功している。カテーテル内でのレーザー光照射で気泡と衝撃波を発生し、カテーテル先端から直径0.1mm、速度20m/s程度の水ジェットを制御して噴出させ、これを空気中で用いて生体軟組織の切開装置を試作し、また、これを血管内で用いて低侵襲的な脳血栓血行再建術装置を試作している。これら装置での基礎実験、動物実験を終了させて現在臨床実験を開始しようとしている。また、衝撃波と細胞の相互作用を組織学的にまた生化学的に解明するための、医学と工学の連携研究が進行中である。パルスレーザー光を金属膜に作用させ発生するレーザーアブレージョンでの金属膜の高速変形を用いて微粒子を高速で打ち出す過程を詳細に解明して独創性の高いドラッグデリベリー法を開発している。この原理は微粒子分布と貫通深さを制御した物理的遺伝子導入法の開発に拡張され、現在、実用研究が進行中である。 iii)地球物理、火山学への応用地球物理学者との連携で研究を推進し、地球進化史に巨大隕石衝突が重要な役割を果たし、そのとき固体および水中衝撃波が激変の素過程となっていることを、アナログ実験と数値模擬により様々の角度から実証している。また、火山の爆発的な噴火では短時間のエネルギー解放が重要な素過程となり、同様に衝撃波の関与が重要となっていることを実証している。特に、マグマの微粒化の動力学的機序をアナログ実験で解明した。 iv)産業応用爆発騒音、自動車排気騒音およびトンネルソニックブームの機序を解明し、防止あるいは低減法を提案している。また、レーザー光を用いる新しい海底岩盤掘削法開発の基礎を確立した。 v)学会活動5年間の拠点形成過程を通じて日本衝撃波研究会事務局を、また、Shock Wave International Journalの編集長と編集事務を担当し、さらに、拠点活動の一環として平成13年アジア太平洋衝撃波研究会を発足させ、これを平成17年3月国際衝撃波学会(International Shock Wave Institute)の設置に発展させている。
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Research Products
(7 results)