2012 Fiscal Year Annual Research Report
エジプトにおける農業政策と食料安全保障に関する研究
Project/Area Number |
12F02012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久野 秀二 京都大学, 経済学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ASHRAF Solyman 京都大学, 経済学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | エジプト / 農業政策 / 食料安全保障 / 農業構造 / 食料への権利 / 食料主権 / 農村開発 |
Research Abstract |
本研究は、これまで国民経済ないし家計レベルで専ら経済的・技術的な指標から食糧確保のあり方を論じてきた「食料安全保障」概念の限界を踏まえ、新たに「食料への権利」や「食料主権」等の概念を取り入れることによって、エジプトにおける新自由主義的な農業政策がいかに食料不安を高め、農村と都市の貧困問題と社会不安に帰結してきたかを明らかにすることを目的としている。具体的には、(1)文献調査を通じて関連諸概念の意義と限界を明らかにする。(2)エジプトの農業食料政策の変遷と農業食料をめぐる各種指標との相関関係を、統計資料等を用いながら国際比較的視点から明らかにする。(3)エジプトの食料安全保障に関する関係者・関係機関の認識と展望について、食料安全保障に不確実性を伴う東アジア諸国とも比較しながら、ヒアリング調査等を通じて明らかにする。(4)以上の調査研究の成果を国内外の関連学会で発表する、というものである。 平成24年度については、研究代表者と共同で本研究課題を分担する外国人特別研究員(Ashraf Solyman)の来日が9月中旬までずれ込んだため、次年度以降の本格的な調査研究活動に向けた条件整備に専念することとした(直接経費のほぼ全額を図書購入に充て、国内旅費については外国人特別研究員として受給している研究費から支出するにとどめたのはそのためである)。具体的には、文献調査を通じて関連諸概念の整理に取り組むとともに、統計資料や関連政策に関する文書資料を収集・整理しながら、エジプトの農業構造と食料安全保障政策の概要を把握することに努めた。前者については、研究代表者が主宰する大学院ゼミナールで集団的検討を行い、後者については、研究代表者がオーガナイズした大学院生向けの集中講義「Comparative Development Studies」で研究分担者が担当した報告「Agricultural Development and Food Securityin Egypt」に結実した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の実施計画に照らし、諸概念の整理ならびにエジプトの農業構造・農業政策に関する情報の収集・整理についてはおおむね順調に進展しているものの、当初予定していた、国内関係者・関係機関へのヒアリングを通じた国内研究ネットワークの構築、および国際比較に必要な情報収集を兼ねた国内関連学会(日本農業経済学会等)への研究分担者の参加については、実現することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は前年度の基礎作業を踏まえ、エジプトにおける農業政策と食料安全保障の関連性を歴史的・構造的に把握するための分析視角と方法論を確立するため、世界各国・各地域を事例に取り組まれている既存研究のサーベイを実施するとともに、エジプトでの現地ヒアリング調査を実施するための準備を進める予定にしている。その過程で、日本国内の関係機関・関係者へのヒアリングも実施したい。 また、国内外の関連学会でエジプトの食料安全保障政策に関する中間報告的な発表を行うことにしている。可能であれば、9月末にオランダで開催される食料安全保障に関する国際カンファレンスに出席し、国際的な政策動向・研究動向についての情報収集に努める。
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