2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHENG Jinguang 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 圧力効果 / CaCu_3Ir_4O_<12> / BaIrO_3 / YFe_4P_12 |
Research Abstract |
本年度は、強相関系物質等における多重極限環境(高圧・低温・高磁場)下での基礎物性研究を行った。具体的には、10GPa級での圧力下における物性研究を行い、圧力誘起超伝導や、数奇物性現象の発見およびその機構解明を目的とした。さらにより広い圧力範囲での物性測定を可能とする装置開発も行った。より具体的な研究成果を以下に述べる。(1)量子臨界現象点近傍の研究 : 常圧で超伝導秩序を示す圧力充填ダイト化合物YFe_4P_<12>の圧力依存性を調べ、超伝導転移温度が正の圧力依存性を示す原因について、それぞれ物質においてバンド構造を計算し比較検討する事により明らかにした。また、CaCu_3Ir_4O_12について高圧合成を行い、純良試料を作製した。測定により、この物質が報告例の少ない、d電子に起因する近藤物質であることを明らかにした。(2)圧力誘起金属―非金属転移現象の研究 : ペロブスカイトPbCrO_3は臨界圧力(1.6GPa)近傍で体積が10%程度減少する。この臨界圧力で起こる体積変化がCrの価数変化に起因することを明らかにした。同様な物質であるペロブスカイトBaIrO_3の試料を25GPaの超高圧下で合成する事に成功し、一連の113化合物について統一的に理解できることを明らかにした。(3)圧力装置の開発 : 測定圧力範囲を10GPa以上にすべく、アンビルトップの大きさを、4x4mm^2から2.5x2.5mm^2に変更した開発を行った。その結果は、ガスケットを工夫することにより、最大発生圧力をこれまでの約2倍である16GPa (T=4.2K付近)にすることに成功したと同時に、試料セットの成功率が大幅に上昇させると共に、ほとんど失敗の無い試料セット方法として確立することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画した実験はそのすべてを行い。論文として発表している。その一遍は著名な学術誌で有り、研究内容が優れていることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、当初の研究計画通り進めていく。装置開発により、研究圧力範囲が広がったので、より多くの試料が研究対象となることが期待される。
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