2012 Fiscal Year Annual Research Report
非線形相転移を有するポリイオン液体を用いた可変選択性HPLCの実現
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12F02038
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GURAGAIN Sudhina 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | HPLC / HILIC / イオン液体 / 幾何異性体 / キラル / 有機・無機ハイブリッド / 分子認識 / シリカ |
Research Abstract |
イオン液体(ILs)は幅広い溶解性、不揮発性、デザイン性など、多くの利点をもっており、様々な分野において応用展開されている。その中でも新しい応用展開として分析化学、とりわけ高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の固定相としての応用が挙げられる。本研究は、担体としてシリカゲルを選択し、これにILsポリマーを共有結合によって導入した新規固定相の合成を行い、従来にない高い選択性をもつ逆相系、順相系、逆・逆相系の固定相の開発を目指した。本年度は、(1)重合性ILsモノマーの合成とシリカ粒子へのグラフト重合、(2)機能性アニオンの合成およびイオン交換によるILsポリマーへの導入を行った。 (1)ILsモノマーとして、長鎖アルキル基を有する重合性イミダゾリウム塩(PlmC_<18>-Br)を合成した。次に、テロゲンを固定化したシリカ粒子の存在下で、ラジカル重合を行うことで、ILsポリマーグラフト化シリカ粒子(Sil-PlmC_<18>-Br)を得た。 (2)機能性アニオンとして、アゾベンゼン化合物であるメチルオレンジ(MO)、エチルオレンジを用い(EO)、イオン交換によりILsポリマー中に導入した。得られたSil-PlmC_<18>-MO、Sil-PlmC_<18>-EOにおいて、アゾベンゼン化合物は高度に配向しており、結果として従来のHPLC固定相には見られない高い選択性が発現した。たとえば、一般的なオクタデシル化シリカでは分離が困難であるエストラジオール異性体の分離に成功した。また、L-アラニンにアゾベンゼン化合物を導入したキラルアニオン性色素の合成を行った。今後、イオン交換によるILsポリマーへの導入および生体関連分子、キラル分子の分子認識能について評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目に予定していたキラルアニオン性色素の合成を並行して実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン交換法によりキラルアニオン性色素をSil-PlmC_<18>-Brに導入し、その配向状態等の調査を行い、配向性の制御を試みる。得られたキラルアニオン性色素導入ILsポリマーグラフト化シリカ粒子をカラムに充填し、基本性能ならびに応用(幾何異性や光学異性)分析を実施する。
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