2013 Fiscal Year Annual Research Report
非線形相転移を有するポリイオン液体を用いた可変選択性HPLCの実現
Project/Area Number |
12F02038
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GURAGAIN Sudhina 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | クロマトグラフィー / シリカ / 固定相 / 分子形状識別 / 分離 / ゲル / イオン液体 |
Research Abstract |
もっとも広く活用されているRP-HPLCにおいて発現する選択性は、主に担体となる無機物に固定化される有機相の化学的性質に由来する。たとえば、多種多様な構造異性や幾何異性等を有する多環芳香族炭化水素の分離は、有機相が単量体として固定される場合よりも、高分子化されて固定化される方が高い。申請者らは今までに、低分子が配向集合して繊維状会合体を形成し、溶液をゲル化させる物質、すなわち分子ゲル化剤をシリカ粒子上に固定化し、これによって弱い相互作用点の多重相互作用効果を発現させることによって、著しく高い選択性が実現できることを報告してきした。このような知見のもと、本研究では、新たに3種の分子ゲル化剤を設計し、分子認識能を評価した。(1)グルタミン酸やよびアミノアジピン酸由来の分子ゲル化剤(G1、G2)を調製し、シリカ粒子上にグラフト化した(SIL-G1、SIL-G2)。有機相の導入量がSIL-G1とSIL-G2でほぼ同等となるように調節し、液体クロマトグラフ性能を調査したところ、この両者で分子形状選択性に大きな差が生じることが明らかになった。G1とG2の化学構造はメチレン鎖一個分に過ぎないため、分子配向状態の差が分子認識能に大きな変化を与えたものと考えられる。今後、このメカニズムについてさらに詳しく調査する必要がある。 (2)相互作用の官能基として、尿素結合とアミド結合に焦点を当て、選択性に及ぼす影響について検討するため、L-リジンをベ一スした尿素結合誘導体およびアミド結合誘導体の2種を合成し、液体クロマトグラフ性能を比較検討した。その結果、生理活性物質や幾何異性物質に対する分子形状認織能は、多くのケースにおいて市販の疎水性シリカより高い選択性が得られることを確認した。とくに、尿素結合型は、一部の物質に対して著しく高い選択性を示すことが確認されたので、今後その識別メカニズムについて検討する予定である。 (3)上記の課題に加えて、現在、ポリイオン液体類似の性能を有する有機相をシリカ中に導入し、この対イオンとしてメチルオレンジ誘導体を導入する方法について検討中である。本課題は引き続き次年度の研究目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン液体様の有機固定相については引き続き検討すべき課題であるが、グルタミド型誘導型固定相(SIL-G1、SIL-G2)およびリシン誘導型固定相(とくに尿素結合型)では、分子形状選択性において、期待通り高い数値が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
とくに高い選択性が得られたリシン誘導型固定相(尿素結合型)について、分離対象を光学活性物質に拡げ、多様な分離の可能性を追求する、, 以上に加え、ポリイオン液体様有機固定相の作製を行い、イオン対の系統的な変換と光学分離を含めた分離の多様化について検討する。
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Research Products
(2 results)