2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02049
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
樺島 祥介 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUANG H. 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 統計力学 / 確率推論 / 平均場近似 / 逆イジング問題 / パーセプトロン / 適応TAP法 |
Research Abstract |
大規模な高次元データからの情報抽出は一般に計算量的に困難を伴う. 統計力学的な観点からこの問題の解決やこうした困難が生じる起源を分析するために以下の課題に取り組んだ. 1. 非対称な結合を有するイジング模型のダイナミクスに関する平均場理論の改良 : 神経活動度や遺伝子発現のデータなどは, しばしば, オン/オフの2状態のみを取り得る離散データとして取り扱われる. 逆イジング問題とはこれを統計力学のイジングモデルに対応させ, 1体のバイアスと2体の相互作用まで含む確率モデルの中で最もデータに当てはまるモデルを求める問題である. 前年度の研究では, 熱平衡状態によって記述できる対称結合のモデルに関し, 自己相互作用の影響を取り込んだ逆イジング問題の解法を開発した. その成果はPhys. Rev. E 87.062129 [6 pages](2013)として公開されている. しかしながら, 現実のデータは必ずしも対称結合モデルでは記述できない. そうした対象について逆問題の解法を開発することを目標に, 非対称結合で定義されるイジング模型のダイナミクスを記述する平均場理論の改良に務めた. 2. イジングパーセプトロンに関する解空間の構造分析 : 離散変数の推定問題は一般に計算量的に困難である. その典型例として, 前年度の研究では, イジングパーセプトロン(2値変数の法線ベクトルで定まる超平面での2クラス分類)を取り上げ, ランダムなクラス分けに対する解空間の構造の変化を統計力学の方法を用いて分析した. その成果はJ. Phys. A : Math. Theor. 46, 375002 [18 pages] (2013)として公開され, J. Phys. A誌の"Insights"としても取り上げられている. 今年度は, この分析結果と従来研究との関係を解明するために, 同じ問題をフランツ・パリジポテンシャルと呼ばれる別法で分析することを進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2013年に公表された2報の学術論文は, 2年間を費やして実施しようと予定していた内容であり, 現時点において当初の計画はほぼ達成できたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, 非対称結合のイジング逆問題の解法開発を中心に研究を進める. 具体的には, i)非対称結合イジング模型のダイナミクスの順問題に対する平均場理論の改良について, これまでに得られた成果を論文として取りまとめ, ii)その成果にもとづいて逆問題の解法を開発する, という順で進める.
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Research Products
(5 results)