2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12F02055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寶 馨 京都大学, 防災研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羅 平平 京都大学, 防災研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 水災害 / トレンド解析 / 時系列解析 / 水文モデル / 洪水氾濫 / 土砂流出 / 極端事象 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)極端事象下の水災害を体系的・総合的に解析するシステムを構築すること、(2)極端事象が発生する原因・規模・頻度を解明し、極端事象の下での水災害のメカニズムを深く理解すること、であり、平成24年度には以下の研究を実施した。 (1)過去の水害記録(古代の歴史記録も含む)を調べ、その時系列、生起規模・頻度を解析した。将来の水害を予想・推定するためには、過去に起こった事例を精査し、起こりうる最大の現象を想定することが重要である。よって、将来の環境と降雨の空間情報を整理し、水文シミュレーションに活用できるようにするとともに、時系列解析においては単変量スペクトル解析により、スペクトル密度、スペクトル最大値等の統計量を用いて、極端な降雨事象と洪水氾濫の空間的な関係を解明した。こうした極端事象においては森林が洪水氾濫を一定程度軽減することができる。極端事象が発生する原因・規模・頻度を解明し、極端事象の下での水災害のメカニズムを解明することには大変有用であると考える。 (2)総合的確率統計解析を行った。日本の河川流域を対象として、河川土砂の観測データの長期の時系列を行いたトレンド(傾向変動)解析、多変量の観測データに基づいて土砂量をいくつかのカテゴリーに分類するクラスター分析等を行い、土砂量と流域条件との関係を明らかにした。この土砂量と流域条件との関係を利用して、将来の河川土砂状況を予測でき、この結果を利用してダムの管理や水質の管理に有用な情報を提供すること、将来の極端な洪水及び土砂流出に対するダムの治水効果の向上を図ることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果は、平成25年3月までに国際雑誌において査読付き論文として2編が、また、国内学術雑誌に査読付き論文が1編出版された。現在までの研究は申請書に記載の通りに順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)過去の洪水を再現し、将来の洪水を予測する数値計算モデルを構築する。このモデルは、過去に向かっては1000年以上さかのぼり、将来に向けては100年オーダーで予測が可能なものとする。古地図、古絵図面、古本等を用いて、1000年前までの土地利用・土地被覆を再現する。古気候再現モデルとして知られるオランダ気候研究センターのECBILT-CLI0と、STREAM、CDRMV3、SWATという水文モデル群を組み合わせて用い、過去1000年の日々の降雨、河川流量の再現計算を行う。 (2)極端事象に対する脆弱性解析を行う。上記(3)の再現・予測において、特に、大洪水や大渇水といった極端事象に着目し、その生起頻度、規模、期間を明らかにし、将来の水資源開発計画、水管理計画、土地利用計画などに役立てる方法論を考究する。 過去の洪水痕跡、古文書の記録から、当時の豪雨・洪水現象を逆推定し、逆推定された降雨や洪水を利用して、将来の大洪水の予測を試みる。
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Research Products
(4 results)