2012 Fiscal Year Annual Research Report
多段階剛性制御装置を用いた免震構造物の極限挙動と性能設計
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12F02070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BECKER Tracy 京都大学, 防災研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 免震建物 / 多段階剛性 / 極限挙動 / 長周期地震動 / 直下地震動 |
Research Abstract |
今世紀中盤までにはその襲来が確実視される南海トラフの巨大地震や首都直下地震に対する備えとして、地震動のスペクトル特性に寄らずに地震動入力を低減する効果が期待される、3次元凹型曲面摩擦機構を有する多段階剛性免震装置の免震建物への適用が提案されている。多段階剛性免震装置による共振応答低減効果を評価すること、通常の免震建物と新型免震装置を有する免震建物それぞれに対して極限挙動を定量的に評価した設計方法を提案すること、を本研究の目的とする。 本年度はその端緒として、各国の免震指針における免震建物の大変形極限挙動への対応の検討、数値解析シミュレーションの対象とする免震建物の選定、免震建物の振動台共振実験および擁壁衝突実験を骨子とした研究を実施するとともに、既存の免震建物の擁壁衝突モデルの評価と大変形極限挙動の模擬にも着手した。具体的には首都圏に実際に建つ高層免震建物を姐上に上げ、極限応答までを模擬するために、上部構造の塑性化や部材劣化までを含む上部構造モデルと、多段階剛性免震装置の特性を模擬する免震層モデルからなる精緻な数値解析モデルを構築した。次いでこのモデルを用いて、長周期成分を含む長周期地震動とパルス性の高い直下地震動(断層直交成分)に対する応答を評価した。またこの挙動を振動台上で再現すべく、上部構造を等価な多自由度システムに置換した縮小模型を製作し、擁壁衝突を模擬するために裏留め土の柔性を考慮した擁壁部剛性とRC基礎の剛性を用いて表現した衝突モデルによる解析の妥当性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、できるだけ現実に即した建物の解析、実施設計に照らし合わせた現実的な設計地震動の選択、実際の巨大地震を想定した現実的なシナリオ地震の選択が不可欠となるが、幸いにも本研究に建設産業界からの支援を得ることができ、建築構造設計実践の最先端で働く技術者達と定期的な会合を持ちつつ、本研究にとって最適の免震建物を解析対象とすることができた。振動台を用いた実験に関しても、等価な多自由度系システムに置換した上部構造模型が十分な精度を有すること、上部構造の損傷の進展を各部材の剛性調節によって模擬できることを確認した。このように、本年度での達成をめざした研究項目については所定の成果を収めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で構築した数値解析モデルを用いて、多段階剛性免震装置を用いることによって期待できる応答低減効果と、この装置を用いた場合に想定される極限挙動を検討するとともに、多段階剛性免震装置を有する免震建物の振動台実験の実施に向けて、試験体や試験装置の実施設計にも取り組む予定である。
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