2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規アセチル化制御因子・Xによるグロビン発現制御機構の解析
Project/Area Number |
12F02083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉山 大介 九州大学, 大学病院, 特任准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KULKEAW Kasem 九州大学, 大学病院, 外国人特別研究員
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Keywords | 赤血球系造血 / グロビン合成制御 / ヒストンアセチル化 |
Research Abstract |
受入研究者とKulkeaw博士は新規貧血モデルを考案し、造血幹細胞が赤血球へ分化する過程において遺伝子発現が50倍亢進するXを同定した。Xはピストンのアセチル化を司るGCN5ヒストンアセチル化酵素に類似し、アセチル化に関与する事が示唆された。平成24年度には、赤血球系造血におけるXの機能をさらに明らかにするため、Xのin vitro機能解析を中心に行った。 プラスミド・トランスフェクションによってXをマウス・フレンド赤白血病細胞へ強制発現した。免疫染色法によりXがヒストンアセチル化を抑制する事が示唆された。また、real-time PCR法によりグロビン遺伝子発現を検討したところ、α、β共に遺伝子発現が抑制された。グロビンタンパク質の合成比率を検討するためHPLC法でのタイピングを試みたが困難であり、質量分析装置を用いた解析を検討中である。遺伝子導入2日後の細胞において、細胞表面抗原発現の解析をフローサイトメトリーにより検討したが、コントロールと比較し、顕著な違いは認められなかった。 更に、Xのヒストンアセチル化阻害作用を検討するため、アッセイキットを用いて、アセチル補酵素A結合能及びヒストンアセチル化酵素活性を保持するか検討した。Xはアセチル補酵素A結合能を保持するにも関わらず、ヒストンアセチル化酵素活性を保持しない事から、Xによるヒストンアセチル化阻害作用は既存のヒストンアセチル化酵素に対する競合阻害である事が示唆された。 また、Xの局在を検討するため、Xに対するポリクローナル抗体を作製した。免疫染色法による解析では、マウス・フレンド赤白血病細胞、ヒト・K562細胞共に、Xは核内に局在する事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではXの機能を明らかにすることを目的としている。平成24年度には、Xによるヘモグロビン合成の抑制が、ヒストンアセチル化の制御による可能性を示し、Xの機能の一部を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
既に作製したXのコンディショナルノックアウトマウスキメラより産仔が得られず、再度作製するため、一定の期間を要する。その間、in vitro解析に重点を置き、研究を推進する。
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Research Products
(6 results)