2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田之倉 優 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FEIFEI Wei 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 核磁気共鳴 / コーヒー / 非破壊分析 / 多変量解析 / メタボロミクス / 食品の真正評価 / 品種識別 / 産地鑑別 |
Research Abstract |
コーヒーの品質に大きく関わるコーヒー生豆の品種および産地の識別は、コーヒーの品質管理にとって非常に重要な課題である。核磁気共鳴法(NMR)は簡単な前処理と穏やかな環境での測定が可能であるため、成分の変質、損失を最小限に抑える事ができる。そこで、我々はNMRを用いて生豆成分に基づく品種・産地の非破壊鑑別法を確立した。まず、コーヒー生豆抽出物の1次元および2次元のNMRスペクトルの帰属により、生豆成分であるカフェイン、クロロゲン酸類、トリゴネリン、ショ糖、アミノ酸、キナ酸などの16種類の化合物がNMRで観測できることを確認できた。さらに、アラビカ種とロブスタ種の合計6産地の生豆の抽出物を測定し、NMRスペクトルの主成分分析により、すべての生豆試料をアラビカとロブスタの品種によって区別することができた。各品種に特徴的な成分を確認するための判別分析と帰属情報から、アラビカ品種のコーヒー生豆にはショ糖、トリゴネリンなどの成分がより多く、ロブスタ品種の生豆にはクロロゲン酸、カフェイン、コリンが多いことが明らかになった。また、コーヒー生豆の原産地を区別するためにアラビカ品種の4産地の生豆サンプルのNMRスペクトルを主成分分析し、第3主成分までの展開により原産地ごとに識別することができた。ロブスタ品種2産地の生豆の主成分分析および判別分析では、産地を区別することができ、帰属の情報から各産地の生豆の特徴成分を同定することに成功した。これらの結果から、NMRはコーヒー豆の品種、原産地、偽和の有無の識別に有効な分析手法だと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の目的は、非破壊的に測定できる高感度NMR技術を用いて、食品混合物のメタボロミクス分析を行い、シグナルを帰属することで食品の成分分析、品質管理、食品の真正評価、食安全の確保などに応用することである。本年度は、NMRを用いたコーヒー生豆の品種・原産地の鑑別に成功した。これらの成果は論文1報として国際雑誌に掲載され、計画通りに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
NMRスペクトルは食品混合物の「指紋」として、各食品の化学的特徴を示す。NMRを用いたプロファイル分析を食品の原産地、原材料偽装などの真正評価における実用性を探索しながら、食品の組成から風味特徴の判定への有用性にも展開していきたい。そして、NMRを用いて食品成分の特徴を明らかにする上で風味の特徴を予測できる技術の開発へ進めていきたい。
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Research Products
(5 results)