2012 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ型トリパノソーマ由来グリセロールキナーゼを標的にした阻害剤の論理的開発
Project/Area Number |
12F02102
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 繁春 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BALOGUN E.O. 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | グリセロールキナーゼ / トリパノソーマ / アフリカ睡眠病治療薬 / 論理的設計 / X線結晶解析 / 嫌気的エネルギー代謝 |
Research Abstract |
アフリカの経済的に恵まれない人々を苦しめているアフリカ睡眠病は、アフリカ型トリパノソーマによって引き起こされる感染症である。本研究は、Structure Based Drug Design(SBDD)による抗トリパノソーマ薬の創成を目指し、宿主内におけるトリパノソーマの嫌気的エネルギー代謝に関わっている酵素のうち、グリセロールキナーゼ(GK)を標的にした阻害剤の発見を目指している。 東京大学創薬オープンイノベーションセンターの化合物ライブラリーに収容されている約20万化合物の中から、理化学研究所・本間博士の協力によりインシリコスクリーニングで約6000個のGK阻害剤候補化合物を選び、その内マイクロモルオーダー以上の阻害活性(IC5_<50>)を示す阻害剤について、24年度はGKとの複合体構造を解析してSBDDに必要な阻害剤とGK間の相互作用を明らかにした。一方、これらの化合物群の中から、サブナノモルオーダーでGKを阻害(IC<50>=100nM)するだけでなく、シアン耐性酸化酵素(TAO)も同時に阻害(IC_<50>=900nM)する化合物を見出した。TAOは宿主内にいるトリパノソーマの嫌気的エネルギー代謝で中心的役割を果たしている。しかし、TAOを阻害しても、GKが本来の酵素反応と逆反応(グリセロール3リン酸+ADP→グリセロール+ATP)で僅かではあるがATPを生産するのでトリパノソーマは生き延びることができる。TAOとGKの両方を阻害できる化合物の発見は、宿主内にいるトリパノソーマの嫌気的エネルギー代謝を、一剤で完全に止めることができる抗寄生虫薬の創成につながる。この阻害剤をリード化合物にして両酵素を数~数十ナノモルオーダーのIC_<50>で阻害できる化合物をSBDDで設計することによって、開発途上国でも使い易い、アフリカ睡眠病の治療薬を創成が期待できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アフリカ睡眠病治療薬の開発を目指して、TAO阻害剤とは別に、本研究でGK阻害剤のSBDDを行っているが、その過程でTAOとGKの両方をサブナノモルオーダーのIC50で阻害できる化合物を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
この化合物の発見は、一剤で両酵素を同時に阻害できるアフリカ睡眠病治療薬の創出につながることが期待できる。 TAOとGKの両方を阻害できる化合物に焦点をあて、この化合物と両酵素との複合体構造に基づいて、IC_<50>が数~数十ナノモルオーダーになるようにさらにSBDDを進める。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Structure of the trypanosome cyanide-insensitive alternative oxidase2013
Author(s)
Tomoo Shiba, Yasutoshi Kido, Kimitoshi Sakamoto, Daniel Ken Inaoka, Chiaki Tsuge, Ryoko Tatsumi,Gen Takahashi, Emmanuel Oluwadare Balogun, Takeshi Nara, Takashi Aoki, Teruki Honma, Akiko Tanaka, Masayuki Inoue, Shigeru Matsuoka, Hiroyuki Saimoto, Anthony L. Moore, Shigeharu Harada, Kiyoshi Kita
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Journal Title
Proc. Nat1. Acad. Sci. USA
Volume: 110 (12)
Pages: 4580-4585
DOI
Peer Reviewed