2012 Fiscal Year Annual Research Report
ミャンマーにおけるインフルエンザウイルスの薬剤耐性と分子疫学
Project/Area Number |
12F02104
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 玲子 新潟大学, 医歯学系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAPAT C.P. 新潟大学, 医歯学系, 外国人特別研究員
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Keywords | インフルエンザウイルス / ミャンマー / ヤンゴン市 / ネピドー市 / 薬剤耐性ウイルス / ノイラミニダーゼ / リバースジェネティクス(RG) |
Research Abstract |
この研究は、ミャンマーにおける薬剤耐性インフルエンザウイルスの出現頻度と遺伝子学的特徴を明らかにすることが目的である。2012年の6月から9月にかけて、ヤンゴン市のサンピア病院と国立保健研究所と、ネピドー市の医学研究局で、インフルエンザウイルス迅速診断キット陽性の検体を新潟大学大学院医歯学総合研究科国際保健学で分離培養の結果、合計105件のウイルス株を得ることができた。その105件のウイルス株の内訳は、パンデミック09A型H1N1(以下、A(H1N1)pdm09)が25件、インフルエンザB型が80件であった。A(H1N1)pdm09の薬剤耐性をサイクリングプローブPCRで検査したところ、25株全てが抗ウイルス薬であるアマンタジン耐性変異(S31N変異)をもつことが判明した。またA(H1N1)pdm09全25株のうち、オセルタミビル(タミフル)耐性変異(H275Y変異)をもつ株は検出されなかった。ヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)遺伝子解析により、ミャンマーで得られたA(H1N1)pdm09は、HA遺伝子にD97N変異とS185T変異をもつことが特徴であるグループ6に属し、隣国であるバングラディシュで分離された株と類似していた。これらの遺伝子解析から、2009年に発生したA(H1N1)pdm09(グループ2)は、2010年にはグループ4に進化し、2012年にはグループ6に進化した。このことから、A(H1N1)pdm09は2009年から2012年まで継続して遺伝子進化を続けていることが明らかになった。サイクリングプローブPCRによる検査により、分離できたインフルエンザB型80件中10件がビクトリア系統、70株が山形系統に属していた。また、より詳細な薬剤耐性インフルエンザウイルスの研究を可能にするために、2012年12月に東京大学医科学研究所感染免疫部門ウイルス感染分野にて河岡義裕教授、野田岳志准教授より、リバースジェネティクス(RG)による組み換えウイルス作製技術のトレーニングを2日間受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年6月から9月のミャンマーで雨期に当たるインフルエンザ流行シーズンに発生した105株ものインフルエンザウイルスの分離に成功し、ミャンマーで2012年に流行したインフルエンザウイルスの型、亜型別の流行状況、遺伝子学的特徴および薬剤耐性ウイルスの発生状況を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年もミャンマーでインフルエンザの検体を収集することを計画しており、更に、ヤンゴン市とネピドー市に加え、マンダレー市を第3の拠点都市とし、マンダレー市の公衆衛生研究所とマンダレー一般病院でインフルエンザ検体の収集を行うことを計画している。
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Research Products
(4 results)