2012 Fiscal Year Annual Research Report
核医学的手法を用いた動脈硬化症の画像診断法の開発と応用
Project/Area Number |
12F02105
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
玉木 長良 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO Yan 北海道大学, 大学院・医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 不安定プラーク / プロテオーム解析 / 18F-FDG-PET / 動脈血栓 / アンジオテンシン受容体拮抗薬 / プラーク安定化治療 / 99mTc-annexin A5 |
Research Abstract |
本年度に実施した研究の成果として:1)破綻危険性の高い動脈硬化プラークの病理組織学的/生化学的特徴を把握するため、病変とその周囲に存在するタンパク質群に注目し,質量分析によるタンパク質の網羅(プロテオーム)解析でその分子機構を解明することを進めた。我々は、日立製作所との共同研究として、ApoE欠損マウスと野生型マウスより抽出した血漿と動脈組織を用いて、比較プロテオーム解析を実施した。その結果、動脈硬化プラーク形成に伴って、ApoE欠損マウス動脈における発現量が、野生型と比較して顕著に増加する幾つかのタンパク質を同定した。2)計画当初で候補した放射性標識トレーサー(18F-FDG)を用いて、バルーン傷害ウサギモデルでで動脈硬化プラークの画像化及び不安定性評価における実用性を確認した。実際動脈硬化病変の破綻による動脈血栓の形成を評価項目に取り入れ、動脈硬化病変への18F-FDG集積と動脈血栓形成との関連を明らかにした。18F-FDG-PETによる動脈硬化巣の血栓形成能を評価する可能性を証明し、この成果はCirculation Research誌に掲載予定である。3)動脈硬化病変における分子・機能変化に関与した治療法として、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を選出した。我々は多種類のARBの中から、高血圧患者によく利用されるテルミサルタンを選択し、ApoE欠損マウスへの混餌投与を行った。テルミサルタン治療による動脈硬化病変の減少・病変の安定化を確認された上、治療効果に応じた99mTc-annexin A5の病変集積の低下も確認された。ARBによる動脈硬化進展の抑制作用の機序を解明するとともに、99mTc-annexin A5によるプラーク安定化治療の薬効評価への実用性を証明した。この成果はMolecular Imaging誌に掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は明白であるため、目的に適した実験方法の選出と実施が順調にできた。研究を行う前に、十分な情報収集を行われたため、先行研究で得られた経験を生かして、計画の通りに研究を進めていた。そのため、新規性及び実用性の高い研究結果を得られて、いずれも学会発表や論文発表で情報発信ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、当初の計画とおりに研究を進める予定である。また、今年度の研究結果を踏まえて、今後研究の遂行において、新規トレーサーの設計及び動物実験で実用性の検討を中心に行う予定である。
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Research Products
(6 results)